日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-037  鶏卵アレルギーに対する急速経口免疫療法 多施設共同ランダム化比較試験の経過について
伊藤 直香下条 直樹藤澤 隆夫岩田 力
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2012 年 35 巻 4 号 p. 345a

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抄録

【目的】厚労科研「食物アレルギーにおける経口免疫療法の確立と治癒メカニズムの解明に関する研究」(研究代表者 岩田力)による経口免疫療法多施設ランダム化比較対照試験(RCT)の経過について報告する.【方法】対象は二重盲検食物負荷試験にて確定診断され,症状誘発閾値が卵白換算4 g以下であった5-15歳の鶏卵アレルギーの児.治療群,対照群(除去食群)にランダム化割付し,治療群は閾値以下の量から卵白を毎日3-5回漸増摂取,鶏卵1個分60 gまで増量し,以後維持療法を継続した.割付3ヵ月後の負荷試験にて治療群と対照群を比較,その後,対照群も本療法を開始.両群で本療法前後の臨床的,免疫学的変化を検討した.【結果】9施設より45症例(平均7.5歳,閾値中央値0.8 g)が進行中.割付3ヵ月後の治療群と対照群の比較では,治療群のみで,有意な症状誘発閾値の上昇,特異的IgG, IgG4, IgAの上昇,皮膚反応の低下,好塩基球活性化反応の低下,特異的IgEの低下を認めた.本療法により36例(84%)が治療開始後数週間で目標量の60 gまで到達した.治療中の副反応により5例が中止し,39例は維持療法を継続中である.当日は,その後の臨床的,免疫学的変化を検討した結果も加えて報告する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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