日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
進行性多巣性白質脳症との鑑別に脳生検が診断に有用であった血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例
高峰 裕介井汲 菜摘小野江 元早瀬 未紗長澤 洋介阪上 雅史杉山 海太中川 優内野 慶人高橋 宏通平林 幸生野崎 高正三浦 勝浩猪股 弘武入山 規良白岩 秀隆小林 寿美子北村 登八田 善弘松川 吉博武井 正美
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2014 年 37 巻 2 号 p. 111-115

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抄録
  今回我々は間質性肺炎合併全身性強皮症に対し,長期間シクロファスファミドを内服中に亜急性に進行する意識障害と認知症症状で発症した68歳女性の中枢神経原発悪性リンパ腫を経験した.検査所見で髄液蛋白の上昇以外,血清中のCRP及びsIL-2Rは正常であった.頭部MRIにて白質に脳梗塞様の病変が多発しており,画像所見及び髄液検査からは進行性多巣性白質脳症との鑑別を要した.入院2週間後の頭部MRIで病変の拡大,増生を認め,意識障害も徐々に進行した.髄液のJCウィルスPCR検査は陰性であったが,検査の感度は80%であるため,その他の疾患鑑別も含め脳生検を行った.組織学的に血管内腔にリンパ球様の大型の腫瘍細胞塊を認め,特殊染色の結果,IVLと診断した.治療はR-CHOP療法を行い,意識障害と認知症症状は軽快した.中枢神経(CNS)原発の血管内悪性リンパ腫(IVL)は,稀な疾患で,特異的な検査所見に乏しく,麻痺や脱力などの局所症状や認知症症状など多彩な症状を呈する.そのためCNS原発のIVLは診断が難しく,炎症所見やsIL-2Rが生前に診断がつかないことも多い.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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