日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム1-6 視神経脊髄炎の疾患制御
山村 隆
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2015 年 38 巻 4 号 p. 238

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抄録

  視神経脊髄炎(NMO)は,疾患特異的自己抗体(抗アクアポリン4抗体)が同定されてから確立した疾患単位で,以前は多発性硬化症(MS)として治療されていた.NMOの重篤な再発は失明,対麻痺,神経痛などの後遺症を残すが,MSの治療薬の多くはNMOを悪化させる.我々はNMOの免疫病態から新たな治療法を開発する可能性を考え探索研究を行ってきたが,NMO特異的なプラズマブラスト(PB)の増加およびPBによる抗アクアポリン4抗体産生を確認し,さらにPBの生存や抗体産生にIL-6が必須であることを証明した(Chihara et al. 2011).これらの発見をもとに臨床研究を展開し,抗IL-6受容体抗体tocilizumab(TCZ)がNMOの再発予防や神経痛様疼痛に有効であることを明らかにした(Araki et al. 2013, 2014).本講演ではTCZのリポジショニングに至った研究経過および今後の展開について議論する.またNMO研究から浮かび上がって来た,自己免疫疾患医療における“precision medicine”の考え方の意味についても考察する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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