日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
ランチョンセミナー
LS4 免疫チェックポイント阻害剤のこれまで(A)→未来(Z)
吉村 清
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 40 巻 4 号 p. 288a

詳細
抄録

  腫瘍の免疫機構は,細菌やウィルス等の感染による異物排除の概念から発展した免疫機構と異なる点が有る.これを克服するために負の免疫機構に注目し“免疫チェックポイント”の概念が生まれた.元々がん免疫療法の開発は免疫システムの活性化の歴史であり,この概念は変わることなく今でも重要な機構であるが,これに加え腫瘍微小環境において免疫の“編集”が起こることから,免疫機構における抑制系の解除といった概念が重要であることがわかった.ここで生まれた“免疫チェックポイント阻害剤”の抗PD-1あるいはPD-L1抗体を用いた免疫療法は今後がんの治療そのものを変えると考えられる.この一方で,現在これらの治療をきっかけにこれまで行われてきた,がん治療が効きやすい人と効きにくい人を遺伝子学的に検索しあらかじめ予測できないかといった概念から,プレシジョン・メディスンの時代が始まりつつある.さらに,症例を積み重ねることで免疫チェックポイント阻害剤特有の副作用の存在が明らかになってきた.副作用の発生機序の解明も今後進むと考えられる.また従来の免疫モニタリングによるバイオマーカー探索に関しても進歩が見られ,今後,がん免疫療法はどのような形で進む可能性があるかを含め,がん免疫療法の歴史を紐解きながら固形がんへのT細胞浸潤機構や適切な活性化の解明を通した我々の取り組みを紹介し,今後のがん免疫療法の開発の可能性を含め論じる.

著者関連情報
© 2017 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top