2017 年 40 巻 4 号 p. 312c
【目的】C蛋白誘導性筋炎(CIM)は多発性筋炎のマウスモデルである.私たちはIFNγ欠損マウスにCIMを誘導するとIL-17A非依存的に筋炎が重症化し,IFNγがCIMに抑制的に作用すると報告した.IFNγはin vitroでは単核球や一部の癌細胞において免疫抑制性タンパクprogrammed death 1 ligand 1(PD-L1)の発現を誘導するため,CIMの炎症局所の筋線維においてもPD-L1を誘導し,局所の免疫応答を抑制する可能性が考えられる.そこで本研究ではIFNγ欠損マウスにおけるCIM増悪に寄与する因子として筋線維におけるPD-L1の誘導不全の可能性を考え,IFNγが筋線維上のPD-L1の発現に影響を与えるかを明らかにすることを目的とした.【方法】筋芽細胞株(C2C12)から分化させた筋管細胞において,無刺激およびIFNγ刺激後のPD-L1のmRNA,タンパク発現を検討した.また,CIMを誘導した野生型マウス及びIFNγ欠損マウスの筋組織におけるPD-L1発現を検討した.【結果】IFNγ刺激で筋管細胞上のPD-L1のmRNA,タンパク発現は亢進した.CIM誘導後の野生型マウスの筋組織では炎症局所の筋内膜上にPD-L1の発現を認めたが,IFNγ欠損マウスの筋組織ではPD-L1の発現は認めなかった.【結論】CIMにおいて筋線維上のPD-L1はIFNγ依存的に発現する.