日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
総説
血管炎診療における分子標的薬
佐田 憲映
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ジャーナル 認証あり

2020 年 3 巻 2 号 p. 279-281

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抄録

 原発性血管炎は,主たる罹患血管のサイズで分類され,大型血管炎には高安動脈炎,巨細胞性動脈炎,小型血管炎のうち免疫複合体が関与しないものにはANCA関連血管炎が分類される。

 大型血管炎に対しては,おもに副腎皮質ステロイド薬を中心として再燃例や治療抵抗例にはさまざまな免疫抑制剤の併用が試みられてきた。最近,抗IL-6受容体抗体製剤トシリズマブの有用性を評価したランダム化比較試験の結果が相次いで報告された。GiACTA試験は,巨細胞性動脈炎患者を対象とし,ステロイドフリーの状態での寛解維持効果が証明された。TAKT試験は,治療抵抗性の高安動脈炎患者において再燃抑制効果が示唆されている。

 ANCA関連血管炎では,従来治療の代替療法として抗CD20抗体製剤リツキシマブの有効性が報告されている。さらに最近では,補体C5a受容体阻害剤アバコパンが,副腎皮質ステロイド薬の代替役として,または大幅な減量が可能となる薬剤として期待されている。

(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌,3(2):279-281,2020)

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