2020 年 48 巻 2 号 p. 95-101
症例は13歳のDravet症候群の男児である。入院4日前から全般性強直間代発作の後に呆然とした状態が数時間持続し増悪するため入院した。声を掛けると振り向く程度で, 眼球を上転し呆然とする状態が持続していた。明らかなけいれんやミオクローヌスはなかった。脳波では, 2–4Hz全般性棘徐波群発を認めた。ロラゼパムは無効で, ミダゾラム投与で一時的に棘徐波は改善したが, 入れ替わりに全般性に高振幅徐波と棘徐波が出現し, 傾眠傾向は持続した。頭部MRIと血液検査では特記すべき所見はなかった。その後も傾眠傾向と脳波異常が持続するため, ホスフェニトイン静注やレベチラセタム持続静注を行ったが無効であった。以前に効果のあったトピラマートを開始し, 意識状態と脳波異常は著明に改善した。意識障害と高振幅徐波が遷延し, 特殊な非けいれん性てんかん重積状態と考えられたが, 急性脳症の鑑別を要したので報告する。