2015 年 3 巻 1 号 p. 86-91
【緒言】透析導入患者の高齢化は顕著であり腎移植においても60歳以上のレシピエントの割合は増加している。高齢者であっても透析療法と比較し良好な予後が期待できるが死亡率が高いことも知られており60歳以上の腎移植について検討した。【方法】2004年から2014年に当院で行った腎移植246例を対象とし60歳以上52名,60歳未満194名に分け背景,生着率や合併症などを比較検討した。【結果】両群で性別,ドナー年齢に有意差はなかったが高齢群の方がドナーに非血縁者が多く献腎移植が多かった。感染症,急性拒絶反応発症率に差はなかった。生存率,生着率は高齢群で低かったがdeath-censored graft survivalは両群で差はなかった。高齢群死亡5例のうち4例で感染症が死因であった。【考察】高齢者の腎移植の成績は若年者と比較し遜色なく積極的に勧められる。しかし高齢者腎移植患者のgraft lossの最多原因は死亡,死因の多くは感染症であり加齢による免疫能低下が関与している可能性がある。高齢腎移植患者の急性拒絶反応発症率は低く今後高齢者の免疫抑制剤投与法の検討が必要である。