2015 年 3 巻 2 号 p. 155-159
近年の技術進歩により,広い分野で3Dモデルをプロトタイプとして作成し,実用応用する機会が増えている。医療の分野でも3Dプリンターモデルを応用し,外科治療に役立てる試みがなされている。本稿では生体腎移植症例に対し3Dプリンターモデルを作成し,術前シミュレーションと術中ナビゲーションを行った経験につき報告するとともに,方法論を中心に詳説を加える。採取腎と移植床のモデル作成のため,患者個別のMDCTデータはDICOM imageで抽出し,OsiliXを用いてstereolithography(STL)データに変換した。3Dモデル作成に必要なデータからSTL fileを作成しインクジェット3Dプリンターを用いて実物大モデルを作成した。術前は手術室スタッフ,手術医で3Dモデルを用いてレシピエント手術を想定したシミュレーションを実施した。生体ドナー腎採取においてはドナー腎の3Dモデルを用い,CTデータをOsiliXで変換した3D画像とともに術中ナビゲーションを施行した。全症例とも術後経過は良好であった。3Dモデルの作成により,術前の患者説明,手術スタッフとの術前シミュレーションによる意思統一と協調,術中ナビゲーションによる執刀医,助手へのサポート,術後は医学生への医学教育使用など,幅広い応用が可能と考えられた。