症例は36歳男性。12歳より蛋白尿,20歳台には腎機能悪化を指摘されたが精査せず,X年8月(35歳),原疾患不明の慢性腎不全に対し先行的生体腎移植を希望し当院初診。術前検査でM蛋白血症を認め,骨髄中の形質細胞4.2%(<10%)でIgG-κ型のMGUSと診断された。X+1年8月に母をドナーとする血液型不一致生体腎移植施行。術後はCr 1.0mg/dL前後で安定したが,蛋白尿が持続し5g/day以上まで増加した。術中の自己腎生検では骨髄腫腎やアミロイドーシスの所見はないが軽鎖沈着症が否定できない所見であった。術後2ヵ月の移植腎生検の電顕で,FSGS病変の初期像を疑わせる足細胞変性を認めたが,蛍光抗体法でκ優位の沈着を認め,軽鎖沈着症の初期の可能性も否定できない所見であった。DFPP,リツキシマブで,その後蛋白尿は減少した。病初期では組織学的にM蛋白沈着症の診断が難しい場合もあり,M蛋白血症に関連する腎病変の出現について慎重なフォローが必要である。