2020 年 8 巻 1 号 p. 11-
重要な要点
1) Frequency split法を利用したmonoenergetic plus画像は,大幅に画像ノイズを低減し,画質改善に有用である.
2) 撮像管電圧差の大きな組み合わせは,低エネルギー仮想単色X線画像の画質特性に優れる.
3) 撮像管電圧差が小さくなると,低エネルギー仮想単色X線画像の低周波成分における画質劣化が顕著となる.
要旨
[目的]
本研究は,撮像管電圧差がdual energy CTから生成される仮想単色X線画像の画質に与える影響を評価した.
[方法]
CT装置には第2世代の2管球CTを用い,成人腹部のX線吸収を模した300 mm径の円筒型水ファントム内部に2 mgI/mLのヨードロッドを固定しスキャンした.撮像管電圧の組み合わせは,80 kV+錫フィルタを付加した140 kV (80/140Sn kV)および100/140Sn kVとし,CTDIvol = 20 mGyに設定した.仮想単色X線画像は,原理に忠実な解析画像 (Mono)とそれに非線形ノイズ低減処理を行った画像 (Mono plus)をそれぞれ再構成した.その際の設定エネルギーは40 keVとした.画質評価としてnoise power spectrumとtask transfer functionを測定し,それらからsystem performance function (SPF)を算出した.
[結果]
Mono画像において,画像ノイズは,100/140Sn kVが80/140Sn kVより大きくなった.Mono plus画像ではMonoに比べノイズが低減され,2つの管電圧の組み合わせでCT値のノイズ変動 (SD: standard deviation)値は同程度となった.しかし,SPF2の最低周波数では80/140Sn kVが,100/140Sn kVに比べ1.5倍以上高い値となった.
[結論]
撮像管電圧差の大きな組み合わせの方が,低エネルギー仮想単色X線画像の画質特性が優れる.