本研究は、地域資源のデジタルアーカイブ化において、3Dスキャン技術がどのような意義や可能性、そして課題を孕むのかについて、文化人類学や社会学の視点を参照しながら検討する試みである。従来の写真やテキストを中心とした記録型アーカイブでは再現が困難であった空間性や質感を、3Dスキャン技術は立体的かつ経験的に捉えることを可能にし、地域の風景や文化財を「体験可能な記録」として再構成することができる。本研究では、高知市旭地区のような「都市でも農村でもない中間領域」に注目し、変化と持続が交錯するローカルな空間において、3Dアーカイブが果たし得る役割を探索する。これは、過疎化や災害、再開発などによって急速に変容する地域資源との向き合い方を考えるうえでも重要な視点である。同時に、3Dアーカイブは情報技術的行為であると同時に、倫理的・社会的な関係性の設計を伴うプロセスである。記録とは何か、保存とは誰のためにあるのかといった問いに立ち戻りながら、地域の住民との共居的実践としての記録の在り方を模索する。こうした観点から本研究は、3Dスキャンを「過去の保存装置」ではなく、「現在と関係を結び直すための知的インターフェース」として位置づけ、その応用手法を考察する。