2011 年 21 巻 3 号 p. 190-195
当社では,栃木県那須連山に位置する沼原ダムにおいて,平成19年9月からGPSによるダム変位測定を開始した。従来の視準測量と比較すると共に,降雪地帯におけるGPSの適用性を検証することを目的とした。測定期間中には,極寒環境故に生じる機器の着氷や装置基礎の凍上などの問題が生じたが,結果として得られた測定データは大変精度良く,GPSの有効性が確認できた。また,ダムの充抜水の際には,連続観測というGPSの特性によって,従来の視準測量では捉えられなかったダム堤体の詳細な挙動を測定でき,この結果に基づき堤体物性について考察した。