2012 年 16 巻 2 号 p. 198-202
誤嚥性肺炎の原因である摂食・嚥下障害に地域中核病院として対応するため,当院に歯科摂食・嚥下外来が新設されて3 年が経過した.脳血管障害の摂食・嚥下障害に対しては,早期からの介入と同時に長期的な経過観察が必要であり,患者の全身状態や嚥下機能の変化に対応し,低栄養や脱水などの合併症や肺炎を予防することが重要である.一方,病院退院後に患者が誤嚥を経験しているという報告や,在宅や施設入居者の嚥下機能と栄養摂取方法が剥離しているという報告もみられ,摂食・嚥下障害患者の病院退院後の再評価の重要性が示唆されている.当院では,入院時から多職種協働で患者の嚥下機能を評価し,退院までの目標を設定して訓練を行ってきた.しかし,退院後のフォローが必要な場合も少なくない.今回,外来設立時からの3 年間で退院後も継続してフォローしていた患者について検討したところ,入院中のADL 改善度が大きい患者ほど,退院後の栄養摂取方法の改善度が高い傾向がみられた.また,食形態が低下した患者は認められず,退院後に食形態が改善し常食に到達した患者および胃瘻から離脱できた患者を認め,回復期リハビリテーション病院退院後の外来フォローの重要性が示唆された.今後は,退院後の患者を継続してフォローできる地域体制の整備が必要であると考えられた.