【背景】嚥下造影検査( VF)は嚥下障害の評価に不可欠であるが,主食である米飯 VF用試料の標準化は未確立であり,なかでも粉末混合法におけるバリウム濃度の検討は十分とはいえない.固形食品では濃度や含水量により粒子凝集や物性変化が生じやすく,再現性確保のため濃度設定の妥当性検証が求められている.
【目的】粉末混合法で試作した米飯 VF用試料を対象に,バリウム濃度が物性および混和性に及ぼす影響を比較し,適切な濃度域を検討することを目的とした.
【方法】試料総重量に占めるバリウム比率を 15・20・25%(w/w)とし,粉末に水を加えて懸濁化後,米飯 100 gへ混和した.各試料は 45℃で保持し,テクスチャー分析により硬さ・付着性・凝集性を評価した(n=8).混和性は,粒散乱および均一性の肉眼的観察により判定した.
【結果】一元配置分散分析により,硬さ・付着性・凝集性のいずれも濃度間で有意差を認めた( p= 0.003,p<0.001,p<0.001).硬さは濃度間で有意差を認め, 15%は低濃度群と高濃度群の中間的な値を示した.付着性は 0%と比較して 15%以上で有意な差を認め,15~25%では低値で安定した.凝集性は濃度間で有意な差を認め,0%と 20・25%間では有意差を認めたが,0%と 15%,15%と 20・25%の間には有意差を認めなかった.混和性は 15~20%で均一像が得られ,25%では粒散乱と団塊化を認めた.
【結論】粉末混合法による米飯 VF用試料では, 15~20%が最も再現性の高い濃度域であり,特に 15%は均質性と調製容易性の両立点として有望である.本研究はバリウム濃度による物性差と混和性の特徴を数値的に示し,米飯 VF用試料の標準化に向けた基礎的知見を提供する.