日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
在宅高齢者の嚥下機能に影響する要因
深田 順子鎌倉 やよい北池 正
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2002 年 6 巻 1 号 p. 38-48

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抄録

本研究は,在宅高齢者の自覚された嚥下機能とそれに影響する要因を明らかにすることを研究目的とした.

シニアクラブに所属する60歳以上の高齢者2508名に対し,嚥下機能の指標として嚥下障害リスク評価尺度を,嚥下機能に影響する要因として性,年齢,健康状態,生活習慣を自記式によって調査した.有効回答658名(男性276名,女性382名,平均年齢74.9±6.7歳)を分析対象とし,単変量解析及び重回帰分析を行い,以下の結果を得た.

1.在宅高齢者が自覚した嚥下機能の低下は,[食道期障害][誤嚥]に関する症状が多かったが,[クリアランスの低下]に関する症状は少なかった.

2.嚥下障害リスク評価尺度の全項目得点に対し単変量解析で有意に差があった要因は,性,年齢,嚥下に影響する疾患,嚥下に影響する薬物,歯の数,咀嚼力,運動する,外出する,外出し会話する,飲酒であった.その10要因を独立変数とし,嚥下障害リスク評価尺度の全項目得点を従属変数として重回帰分析を行った.その結果,有意に関係した要因は,嚥下に影響する疾患,運動する,咀嚼力,嚥下に影響する薬物,年齢の5要因であった.すなわち,嚥下に影響する疾患の既往がある,週1-2回以下の運動,噛みにくい・噛めない,嚥下に影響する薬物を内服する,年齢が高い,という順に嚥下機能に強く影響していた.

3.運動習慣と咀嚼力が,疾患,薬物の要因に加えて在宅高齢者の嚥下機能に強く影響していた.このことは,加齢に伴う嚥下機能の低下を軽い運動の継続と咀嚼力の維持によって予防することの可能性を示唆した.

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© 2002 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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