日本透析医学会雑誌
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症例報告
原発不明の多発肝腫瘍を認め,剖検で肉腫様腎細胞癌を診断した長期透析患者の1例
長谷川 純平若井 幸子尾本 和也
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2013 年 46 巻 2 号 p. 201-206

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抄録

血液透析患者の肉腫様腎癌による肝転移の1症例を経験した.症例は58歳,男性.23年来の血液透析患者で,CRP高値の原因精査目的に20xx年6月に当院入院となった.腹部造影CTで肝臓の多発性腫瘤があるも,諸検査にて明らかな原発巣は同定できず,第96病日に死亡した.剖検では肝臓のほかに右腎臓,脊椎,腹膜に腫瘍性病変を認めた.原発巣は右腎の肉腫様腎癌と同定された.肉腫様腎癌は透析患者では比較的まれな癌であり,初期は臨床症状に乏しく発見が困難な上に進行が速く,予後が悪い.また,本症例のように肝転移をきたす例はまれであり,診断を遅らせる一因となった.肉腫様腎癌の治療法としては外科的摘出以外に確立された方法はないため,早期発見が重要である.このため透析患者には定期的な画像スクリーニングの重要性が示唆された.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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