日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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46 巻 , 2 号
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第57回日本透析医学会シンポジウムより
第57回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 佐々木 裕介, 小川 智也, 金山 由紀, 山口 由美子, 永峯 大輔, 伊佐 祐也, 本塚 旭, 関 典枝, 伊勢 康雄, 長尾 典子, ...
    2013 年 46 巻 2 号 p. 185-191
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2013/03/22
    ジャーナル フリー
    [目的]近年,本邦でも在宅血液透析(home hemodialysis:HHD)が普及してきたが,バスキュラーアクセス(vascular access:VA)に難渋する症例も見受けられる.安定したHHDを行うためには良好なVAを持つことが重要である.当院で導入したHHD患者のVAについて,HHD導入前から現在に至るまでのVA維持管理の状況を分析する.[対象・方法]当院にてHHDを管理している慢性維持透析患者4名(42.8±7.1歳,男:女2:2,HHD施行期間20.8±20.5か月)(以下表記は平均±標準偏差:mean±SDである)を対象とした.HHD導入前指導としてVAのオリエンテーションからHHD導入後の穿刺やトラブル対処について,外来受診時の状況聴取や各回治療経過報告記録から後ろ向きに検討した.[結果]HHD導入前における全体平均指導回数27.3±10.9回(mean±SD),このうち穿刺指導回数21.5±9.0回(mean±SD)であった.HHD導入後のVAトラブル内訳は誤穿刺による内出血が11回,穿刺部疼痛・腫脹が6回,静脈圧上昇や穿刺部痛による穿刺位置変更が7回,PTA施行が1回,穿刺再指導が2回であった.鋭利針によるトラブル発生は腫脹や疼痛が生じるため,患者のストレスに大きく影響しており,一方でボタンホール穿刺の方がストレス軽減していた.[結語]自己穿刺の習得には時間がかかり,穿刺指導は早期から行う必要があると考えられた.BH穿刺は穿刺トラブルの軽減につながり,患者の安心感が得られる穿刺として,上手に活用していくべきと考える.しかしBH穿刺が困難な患者や,BH穿刺が入らない時の対応として鋭利針での穿刺指導を行う必要がある.HHD患者のVA管理において,個々の患者にあった穿刺法をしっかり習得し,透析スタッフとともに日々の定期的な観察を継続することが大切である.
  • 横山 啓太郎, 福原 俊一, 深川 雅史, 秋澤 忠男, 黒川 清, The MBD-5D Study Group
    2013 年 46 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2013/03/22
    ジャーナル フリー
    透析MBDアウトカム研究は日本全国の大規模透析施設が参加した二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を合併する血液透析患者を対象とした多施設共同の前向き観察研究である.今回は本研究参加施設のうち,研究開始時および終了時の診療方針アンケート調査に回答した79施設の結果報告である.本報告では2006年に発表された「透析患者におけるSHPT治療ガイドライン」(ガイドライン)の管理目標達成率を中心に両調査を比較検討し,診療方針や実際の治療に与えた影響について述べる.血清補正Ca濃度,血清P濃度および血清iPTH濃度の管理目標値をガイドラインの管理目標範囲内に設定している施設は,開始時は各々60.0%,71.8%,54.1%,終了時は各々59.5%,73.4%,57.0%であった.血清P濃度をガイドライン管理目標上限値6.0 mg/dLよりも低く設定している施設は開始時26.6%から終了時35.4%と増加した.一方,血清iPTH濃度では,ガイドライン管理目標上限値180 pg/mLよりも高く設定している施設は,開始時34.2%から終了時29.1%に減少した.また,平均血清iPTH濃度は,開始時328 pg/mLから終了時225 pg/mLと低下し,180 pg/mLを超えている患者割合も82.5%から47.1%と大きく減少した.さらに,ガイドライン管理目標達成率は,14.7%から42.2%へと有意に上昇した(p<0.001).本調査結果より,研究参加施設でのCKD-MBD管理を中心とした診療方針と治療の実態が確認され,ガイドラインが広く浸透していることが示された.新たなCKD-MBD関連薬剤による治療管理への影響も示唆され,将来的にはエビデンスが構築され,CKD-MBD診療ガイドラインの更新・改定へ反映されていくことを期待したい.
症例報告
  • 長谷川 純平, 若井 幸子, 尾本 和也
    2013 年 46 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2013/03/22
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の肉腫様腎癌による肝転移の1症例を経験した.症例は58歳,男性.23年来の血液透析患者で,CRP高値の原因精査目的に20xx年6月に当院入院となった.腹部造影CTで肝臓の多発性腫瘤があるも,諸検査にて明らかな原発巣は同定できず,第96病日に死亡した.剖検では肝臓のほかに右腎臓,脊椎,腹膜に腫瘍性病変を認めた.原発巣は右腎の肉腫様腎癌と同定された.肉腫様腎癌は透析患者では比較的まれな癌であり,初期は臨床症状に乏しく発見が困難な上に進行が速く,予後が悪い.また,本症例のように肝転移をきたす例はまれであり,診断を遅らせる一因となった.肉腫様腎癌の治療法としては外科的摘出以外に確立された方法はないため,早期発見が重要である.このため透析患者には定期的な画像スクリーニングの重要性が示唆された.
事故報告
  • 片渕 律子, 緒方 千波, 松井 礼, 上野 道雄
    2013 年 46 巻 2 号 p. 207-215
    発行日: 2013/02/28
    公開日: 2013/03/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代女性.原疾患は妊娠高血圧後遺症.2008年7月腎不全のため当科紹介.10日後,透析導入目的に入院.入院時,尿素窒素102.1 mg/dL,クレアチニン9.9 mg/dL.同日アーガイルヘモフィルトレーションカテーテル(ダブルルーメンスライド式)を右大腿静脈より挿入して血液透析に導入.連日透析4日目,脱血不良のため同じ部位からガイドワイヤーを使用しカテーテル交換.2010年7月,維持透析施設での胸写を契機にカテーテル心臓内迷入が発覚.当時の胸写を見直すと,カテーテル交換後の胸写のすべてに上大静脈から右房,右室にかけて内筒が写っていた.使用したカテーテルは,分岐部の基部から切断すると外筒と内筒が分かれる構造になっており,説明書の禁忌・禁止事項に“いかなる場合も,絶対にカテーテルを切ったりしないこと.”との記載があった.当院でのカテーテル交換の際,分岐基部で切断したため内筒が解離し心臓体内に迷入したことが後で判明した.事故発覚後,当院では診療部に事実を周知,カテーテル操作時の注意を喚起した.また院外の専門医を招聘し,今後の治療方針について協議した結果,迷入したカテーテルは2年が経過しており,摘出するのは困難との結論に達した.以後,ワーファリン投与にて定期的に経過観察.痔出血,眼球結膜出血などのため,ワーファリンは2.75 mgを維持量とし,PT-INRは1.0~1.1で自覚症状なく推移していたが2012年8月の定期の肺血流シンチで左肺上葉に欠損を認め肺塞栓と診断.このためワーファリンを増量し,現在5.5 mgでPT-INR 2.0前後で推移している.本事例は医療器具の操作時に,取り扱い説明書を読むという基本的手順を怠ったために起こった事故であり,また胸写での見落としのために迷入した内筒の摘出ができなかった猛省すべき症例であるため,ここに報告する.
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