日本透析医学会雑誌
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症例報告
血性胸水を呈し胸腔鏡下胸膜生検にて尿毒症性胸膜炎と診断した維持血液透析患者の3例
佐野 隆髙橋 遼島田 芳隆正木 貴教竹内 和博小川 みゆき鎌田 真理子村野 順也内藤 正吉青山 東五竹内 康雄高倉 晃三藤 久鎌田 貢壽
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2016 年 49 巻 3 号 p. 233-239

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抄録
胸腔鏡下胸膜生検により尿毒症性胸膜炎と診断した維持血液透析患者の3例を報告する. 男性2例, 女性1例, 年齢は55~76歳, 透析歴は3~37年で, 3例ともに胸水貯留を伴う呼吸困難で発症した. 胸水穿刺の結果, いずれも血性, 滲出性胸水であった. 胸膜生検所見は, 3例ともに線維素性変化と非特異的な炎症細胞浸潤を認め, 感染や悪性腫瘍を示す所見は認めなかった. 以上より, この3例を尿毒症性胸膜炎と診断した. 全例に透析による除水強化や透析効率の改善, 抗凝固薬の変更を行うも, 胸水や呼吸状態は改善せず, 2例に抗結核療法を行ったが胸水は減少しなかった. 経口プレドニゾロンを投与した1例は, 胸水, 呼吸状態の著明な改善を認め, 治療に反応しなかった2例は肺炎, 呼吸不全で死亡した. 尿毒症胸膜炎の診断に胸腔鏡下胸膜生検は有用であった. 治療抵抗性の尿毒症性胸膜炎は予後不良であり, ステロイド療法が予後を改善する可能性が示唆された.
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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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