日本透析医学会雑誌
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症例報告
前腕の熱傷創部感染を契機に化膿性胸鎖関節炎, 鎖骨骨髄炎を発症した維持透析患者の1例
窪田 慶一赤垣 冬子中森 綾杉浦 寿央
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2016 年 49 巻 4 号 p. 285-290

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抄録

43歳男性. 糖尿病性腎症による慢性腎臓病のため6年前に血液透析に導入. 入院1か月前より右前胸部の腫脹が出現し, その後発熱を伴うようになったため, 精査加療目的に紹介入院となった. MRIでは右鎖骨全体がT2強調像で高信号であり, 右鎖骨骨髄炎と診断した. 抗菌薬加療を開始したが, 第11病日に実施した造影CTで新たに鎖骨の骨破壊と鎖骨周囲および胸腔内の膿瘍を認めた. 鎖骨周囲の膿瘍からは黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出された. 入院時に左前腕にⅡ度熱傷を認めており, 同部位の創部培養と血液培養からもMSSAが検出され, 同部位からの感染が示唆された. 第57病日に腐骨除去病巣掻爬術と胸腔ドレナージを行った際には, 化膿性胸鎖関節炎も併存していた. 熱傷部の創部感染から菌血症となり血行性に化膿性胸鎖関節炎を発症し, 周囲組織への感染の波及により鎖骨骨髄炎と胸腔内膿瘍を合併したと推定された.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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