日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
49 巻 , 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
症例報告
  • 乾 恵美, 小宮山 豊, 山原 英樹, 河野 啓子, 前田 琢磨, 宮田 茂樹, 柴原 伸久
    2016 年 49 巻 4 号 p. 279-283
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    ジャーナル フリー
    70歳台男性. 薬剤性急性腎障害にて透析を行い腎機能の回復を待ったが, 回復せず維持透析となった. ヘパリン透析開始後, 回路凝固, 血小板減少を認め, antigen assayにて抗platelet factor 4 (PF4) /ヘパリン抗体陽性を認めた. ヘパリン起因性血小板減少症 (heparin-induced thrombocytopenia : HIT) と診断し, アルガトロバン透析に変更した. Antigen assay陰性化確認後, ヘパリン透析を再開すると, 再び回路凝固, 血小板減少を生じた. Functional assayを施行した結果, ヘパリン依存性血小板活性化能を認め, HIT再燃と診断した. Functional assayの陰性化を待ち, 全経過として11か月後ヘパリン透析を再開したところ, HIT再燃を認めなかった. 透析領域で, HIT既往患者へのヘパリン再投与の是非およびその時期についてはコンセンサスがない. 本症例のようにantigen assayによる抗PF4/ヘパリン抗体陰性化のみでは, HIT再燃を防止できない可能性がある. HITの診断ならびにヘパリンの再投与の確認には慎重を要し, 血小板活性化能を検出するfunctional assayが有用と考えられた.
  • 窪田 慶一, 赤垣 冬子, 中森 綾, 杉浦 寿央
    2016 年 49 巻 4 号 p. 285-290
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    ジャーナル フリー
    43歳男性. 糖尿病性腎症による慢性腎臓病のため6年前に血液透析に導入. 入院1か月前より右前胸部の腫脹が出現し, その後発熱を伴うようになったため, 精査加療目的に紹介入院となった. MRIでは右鎖骨全体がT2強調像で高信号であり, 右鎖骨骨髄炎と診断した. 抗菌薬加療を開始したが, 第11病日に実施した造影CTで新たに鎖骨の骨破壊と鎖骨周囲および胸腔内の膿瘍を認めた. 鎖骨周囲の膿瘍からは黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出された. 入院時に左前腕にⅡ度熱傷を認めており, 同部位の創部培養と血液培養からもMSSAが検出され, 同部位からの感染が示唆された. 第57病日に腐骨除去病巣掻爬術と胸腔ドレナージを行った際には, 化膿性胸鎖関節炎も併存していた. 熱傷部の創部感染から菌血症となり血行性に化膿性胸鎖関節炎を発症し, 周囲組織への感染の波及により鎖骨骨髄炎と胸腔内膿瘍を合併したと推定された.
  • 平戸 佳奈, 矢嶋 淳, 木内 孝樹, 小野 孝彦
    2016 年 49 巻 4 号 p. 291-295
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代の男性. 主訴は意識障害であり既往歴として脂質異常症でロスバスタチンにて治療中であった. 日常生活動作 (ADL) は自立しており認知症状もなく, 服薬コンプライアンスは良好であり, 定期的に通院していた. 山の畑に行く途中で斜面を滑落し, 下部のフェンスに倒れているところを捜索中の住民に発見され, 当院へ救急搬送された. 来院時CPK 4,814U/L, 尿ミオグロビン6,528ng/mLから横紋筋融解症と診断し補液が行われた. 腹部CTでは明らかな腎萎縮は認めなかったが血清クレアチニン (Cre) 3.08mg/dLと急性腎不全を認めたため, 第2病日より血液透析濾過 (HDF) を開始し, 2日間実施したところ, 第5病日には血清Cre値は正常化した. 横紋筋融解症の原因としては, 野外に2日間飲食せずに留まりHMG-CoA還元酵素阻害薬の服用下で脱水をきたしたことが影響した可能性が考えられた. 今後の課題として, 一人暮らしの高齢者に対して, 地域でサポートする体制が必要と思われた.
  • 濱田 真宏, 森川 貴, 山崎 大輔, 竹内 由佳, 大野 良晃, 柴田 幹子, 岸田 真嗣, 今西 政仁, 北林 千津子, 小西 啓夫
    2016 年 49 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    ジャーナル フリー
    症例は66歳男性. 32歳から2型糖尿病, 52歳時に慢性C型肝炎による膜性増殖性糸球体腎炎からの末期腎不全で血液透析導入となった. X年2月, 腰痛の出現後から左下肢の筋力低下と両下肢痛が出現し歩行困難となったため入院となった. MRIにて胸椎2-3レベルの脊髄の腫大を認め, 左側よりにT1, T2強調画像で淡いhigh intensity areaを認めた. 髄液検査にて水痘帯状疱疹ウイルスを認めたが, 皮疹を認めないことから無疹性帯状疱疹に伴う脊髄炎と診断した. 免疫能が低下していると皮疹が現れにくいといわれており, そのため診断に苦慮することが多い. 本例は糖尿病, 肝硬変, 腎不全などによる免疫不全状態がその要因と考えられた.
feedback
Top