日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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ISSN-L : 1340-3451
原著
慢性血液透析患者におけるヘモグロビン変動と予後の関係
—びわこ臨床透析カンファレンス共同研究—
一色 啓二八田 告磯野 元秀牧石 徹也永作 大輔新宮 良介鹿野 勉渋谷 和之富田 耕彬西尾 利二金崎 雅美荒木 信一宇津 貴びわこ臨床透析カンファレンス共同研究グループ
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2017 年 50 巻 7 号 p. 465-472

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抄録

【目的】血液透析患者のヘモグロビン (Hb) 変動に影響を及ぼす因子を解析しHb変動と予後の関係を検討した. 【対象と方法】6か月間のHb変動を算出した血液透析患者613例を対象とした. Hb変動はHb値回帰直線の残差標準偏差の平均値 (Hb-RSD) を用いた. Hb-RSDに影響を及ぼす因子を重回帰分析で解析し30か月間の入院歴・死亡を後ろ向きに調査した. Hb-RSDを中央値で2群に分け入院累積率・生存率をカプランマイヤー法で, Hb-RSDと予後の関係はコックス比例ハザード法で解析した. 【結果】Hb-RSDに影響を及ぼす因子はフェリチン値, 観察期間中の入院歴, 鉄剤使用であった. Hb-RSD高値群は有意に入院累積率が高く生存率は低かった. Hb-RSDは死亡の独立した危険因子であった (HR 2.54, 95%CI 1.06-6.06, p=0.036). 【結語】Hb変動は血液透析患者の予後予測因子であることが示された.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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