日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者における腸内細菌の変化による貧血改善を試みた4症例の検討
西谷 光広米谷 麻美円城 真衣村田 千春中川 和将鎌口 美穂子北本 貴弥東 祐伽森内 則子保志場 紀子澤﨑 真由美上田 律子大門 正一郎
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2019 年 52 巻 5 号 p. 271-279

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抄録

乳酸菌やビフィズス菌が3価鉄によって増加し, 腸管での鉄吸収が亢進したとの報告がある. 血液透析患者4例に乳酸菌製剤のビオスリー®配合OD錠を1回2錠, 1日3回内服させ, 腸内細菌の変化によって鉄代謝と貧血指標に与える影響を検討した. 腸内細菌の変化に関して, 症例1, 2, 3においてビオスリー®配合OD錠内服1か月後でFirmicutes門の割合が増加した. 鉄代謝の影響に関して, 症例1, 2, 4において内服1か月後でトランスフェリン飽和度が上昇した. また症例1, 4において, 内服3か月後で血清ヘプシジン-25値が減少した. 貧血指標に関しては, いずれの症例もビオスリー®配合OD錠内服によってヘモグロビン値への影響は小さかった. 腸内細菌および鉄代謝の変化は同一症例で生じたわけではないが, ビオスリー®配合OD錠内服によって腸内細菌が鉄還元作用を促進し, 鉄吸収が亢進したことが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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