日本透析医学会雑誌
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症例報告
返血側穿刺針外径拡大によって上腕部内膜肥厚狭窄のVAIVT間隔延長の可能性を見いだせた1例
伊藤 嘉晃藤原 彰弘田中 稔之足立 淳郎
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2021 年 54 巻 7 号 p. 369-374

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抄録

Arteriovenous fistula(AVF)狭窄の原因の一つに内膜肥厚がある.内膜肥厚は乱流が原因の一つとされている.返血側穿刺針の外径拡大による乱流の変化が,内膜肥厚に影響しているのか報告はされていない.症例は返血側穿刺部から離れた上腕に内膜肥厚を認め,頻回にVascular Access Intervention Therapy(VAIVT)を繰り返していた.返血部から離れた位置での狭窄のため,返血側穿刺針からの乱流による影響を疑い乱流を抑える目的で穿刺針の外径を拡大し血液透析を行った.その結果内膜肥厚による狭窄進行を抑えることができ,VAIVT間隔の延長を認めた.返血側穿刺部から離れた上腕部内膜肥厚狭窄において,返血側穿刺針の外径拡大は有効な方法であった可能性がある.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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