2026 年 59 巻 1 号 p. 17-23
64歳女性が糖尿病関連腎臓病を原疾患とする末期腎不全で入院し,第3病日に透析用短期留置カテーテルで血液透析を導入した.第7病日に38℃の発熱を認め,カテーテル感染を疑いカテーテル抜去と抗菌薬投与,その後,薬剤熱を疑い抗菌薬を中止するも,透析日に一致した発熱が持続した.透析前採血での血小板数は基準値内であったが回路内凝血を繰り返したことからヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を疑い,第20病日に透析前後の血液検査を実施したところ,透析後のみに血小板減少を認めた.抗凝固薬をヘパリンからナファモスタットメシル酸塩に変更後,発熱,炎症反応は経時的に改善し,HIT抗体陽性からHITと診断し得た.抗凝固薬としてヘパリンを用いる血液透析患者では,透析前採血で血小板減少を呈さない場合であっても回路内凝血や透析日に関連した発熱を認める場合,HITの可能性を除外せず透析後の血小板数を確認する必要があるかもしれない.