抄録
87歳,女性.初診半年前から左前腕に紅斑があり,ステロイド軟膏外用療法を受けたが皮疹は悪化した.病理組織学的に酵母様真菌を認めたが,培養が不成功のため病因真菌の同定はできなかった.そのためPCR法とシークエンス解析法を使用して皮膚クリプトコックス症の確定診断を行った.PCR法に用いた検体はCryptococcus neoformans(C. neoformans)の国際標準株2株,AIDSに合併したクリプトコックス髄膜炎患者髄液から分離培養された2株,皮膚クリプトコックス症疑いで培養陰性の病変部皮膚凍結組織1検体,同パラフィン包理組織1検体,肺アスペルギールス症疑いで髄膜炎を発症し,その髄液よりC. neoformansが墨汁法により検出された髄液1検体,AIDSに合併した肺クリプトコックス症の肺パラフィン包理組織1検体,計8検体である.PCRの結果,皮膚クリプトコックス症疑いの2検体にも416bpの陽性バンドが得られた.またシークエンス解析の結果,C. neoformans(Accession NO. AF356652)と100%の相同性を認め,C. neoformansと同定した.