日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者における血中バルプロ酸ナトリウムの動態
長田 道夫中川 利香堀 忠服部 元史永田 道子甲能 深雪川口 洋伊藤 克己
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1987 年 20 巻 11 号 p. 855-859

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抄録
血液透析におけるバルプロ酸ナトリウム (VPA) 血中濃度の動態を知る目的で透析施行中の3症例について透析前, 中 (1, 2, 4時間), 後 (2時間) のtotal-VPA, free-VPA, free fraction (FF), BUN, Cr, albumin, UA, free fatty acid (FFA) を測定し, FF値の変動に影響を与える因子について検討した.
その結果, 透析開始前のFF値は32.9±4.5%であり従来報告されている正常人のFF値に比し高値を示した. FFは透析開始後急激に上昇し, 終了とともに急激に低下した. FF値の最低値は透析終了後2時間で, 18.3±3.9%であったが十分に有効治療域内であった. FF値の変動に関しては, FFAが正相関 (r=0.66, p<0.01), albuminが負相関 (r=0.52, p<0.05) を示し, FFの変動に影響を与える因子として重要であると考えられた. しかし, BUN, Crは無相関であった.
以上の結果から血液透析患者に対してVPAを投与する場合にはT-VPAではなく, F-VPAにてコントロールされなければならず, T-VPAのみによって投薬量を決定するならばFFは透析によって大きく変動し, 透析終了後最低値をとることを了解したうえでこれにあたらねばならないと考えられた.
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