日本透析療法学会雑誌
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10年以上生存透析患者のカルシウム代謝異常
三木 隆巳中野 ひろみ揖場 和子宋 景富西沢 良記森井 浩世聴濤 貴一郎松下 義樹井上 隆
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1987 年 20 巻 7 号 p. 543-548

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抄録
透析歴10年以上の44名の定期血液透析患者を対象として, 骨代謝および血管の石灰化について検討した. また, これらの患者の5年前の臨床データおよび年齢と性を対応させた透析期間の短い患者のこれらのデータとも比較検討した. 長期透析患者ではカルシトニンがより多くの患者に投与されているにもかかわらず, 血清カルシウムは有意に高値を示し, 活性型ビタミンD投与期間は短く, 少量しか投与されていない患者の頻度が高かった. さらに, 副甲状腺ホルモン濃度は有意に高値で, 血清オステオカルシン濃度からみた骨代謝回転は高く, 中小動脈の石灰化の頻度も高かった. 長期透析患者では, 血清力ルシウムによる副甲状腺ホルモン分泌の抑制が, 短期透析患者に比べ, 一層不十分で, 副甲状腺が自動性を有する傾向が強くなると考えられる. したがって, 透析初期にビタミンD等の投与により, さらに積極的に二次性副甲状腺機能亢進症の発症の予防につとめる必要がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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