日本透析療法学会雑誌
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20 巻, 7 号
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  • 透析期間, 輸血とhuman T cell leukemia virus-I感染の影響
    大崎 和弥, 植松 俊昭, 大塚 秀行, 魚水 憲二, 東 和弘, 水田 敏久, 吉留 悦男, 上村 伸一郎, 花田 修一, 原田 隆二, ...
    1987 年 20 巻 7 号 p. 505-509
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析 (HD) 患者の末梢血リンパ球サブポピュレーションに対する輸血, HD期間, human T cell leukemia vlrus-I (ATLV/HTLV-I) およびHB virus感染の影響を検討し, 以下の結果を得た. 1). HD期間の増加に伴いOKT8+細胞比率の増加がみられ, OKB1+細胞比率は減少した. 2) 輸血によりHD患者のLeu7+細胞比率は減少したが, OKT4/OKT8比は変化を認めなかった. 3) 抗ATLA抗体陽性を示すHD患者ではOKT4/OKT8比の幅広い分布がみられるが, 抗ATLA抗体陰性者に比しOKT4/OKT8比の有意な低下がみられ, 輸血群でのOKT4/OKT8比低値例のほとんどは抗ATしA抗体陽性あるいは長期HD例であった. 4) HBs抗原陽性群と抗HBs抗体陽性群では, リンパ球サブポピュレーションの差異はみられなかった.
    以上の事から, HD期間あるいは抗ATLA抗体の存在がHD患者のリンパ球サブポピュレーションの変動に関与し得ることが考えられ, 輸血によりOKT4/OKT8比が低下するという今までの報告は, ATLV/HTLV-Iあるいは他のvirus感染による可能性もうかがわれた.
  • 阿部 町子, 保科 繁, 池田 裕, 中村 藤夫, 古川 守, 遠藤 信之, 中川 一郎, 浦野 壽夫, 鈴木 正司, 平沢 由平
    1987 年 20 巻 7 号 p. 511-515
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は濾過型人工腎の治療において, 低分子蛋白質が膜による選択的吸着を受けることをすでに報告した. 今回PMMA膜3種類 (B1系high flux型HF-200, 蛋白透過型BK-1.0 H, B2系B2-1.3), PAN膜 (PAN-140), cuprohan膜 (MC-0.8) についての吸着実験を試み, 各種溶質についての経時的吸着性を検討した.
    透析患者のプール血漿に各種膜の小切片を加えて, 室温下で3時間のインキュベーションを行った. そして30分, 1, 2, 3時間ごとに各種溶質の測定を行い, 実験前値を100%とした時の各経時値を算出した.
    B1系 (HF-200, BK-1.0H) とB2系 (B2-1.3) では, 同じPMMA膜であるが全く異なった吸着性を示した. B1系の膜ではグルカゴン, N末端-PTH, β2-ミクログロブリンが強度の低下を示し, B2系の膜ではN末端-PTH, リゾチウムの低下が著明であった. PMMA膜において, β2-ミクログロブリンは強度の低下を示すとすでに報告したが, それはB1系の膜においてであって, 今回試みたB2系の膜では若干の低下を示しただけであった. PAN膜におけるリゾチウム, リボヌクレアーゼの強度の低下は前回同様であった. 今回新たに検討したN末端-PTHはB1系PMMA膜, PAN膜のいずれでも低下が著明であった. Cuprohan膜については各溶質とも有意な低下は認められなかった.
  • 矢嶋 息吹, 山崎 義一, 円山 英昭
    1987 年 20 巻 7 号 p. 517-524
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年, 慢性腎不全患者の2次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) による腎性骨異栄養症に対する副甲状腺摘除術は有効な治療法とされ, その臨床効果も評価されている. しかし, その組織学的に詳細な検討, 特に好酸性細胞の機能に関する検討はなされていない. 副甲状腺の好酸性細胞は, 従来, 退行変性細胞であり, 内分泌的には非活動性のものとされていたが, その特性が明らかにされ, かつ, 好酸性細胞腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症 (1°HPT) の症例が集積されるようになり, その機能性について言及されるようになってきている.
    今回我々は慢性血液透析施行中の5例に対して副甲状腺亜全摘術, あるいは副甲状腺全摘術+前腕筋肉内移植術を行い, 2°HPTにおける好酸性細胞の機能に関して組織学的観察を行った.
    組織学的には5症例の全てが主細胞, 好酸性細胞, そしてその移行型とされている細胞から成る混合型であったが, そのうち3例においては主細胞優位で, 好酸性細胞は小胞巣を形成し, 2例においては主細胞, 好酸性細胞がほぼ同程度に, あるいはその部位によってはむしろ好酸性細胞優位となり, 結節状増生を示していた. 電顕的には5症例全例でその好酸性細胞中には, 豊富なミトコンドリア, およびその数は少ないが, 粗面小胞体, Golgi装置, 分泌顆粒を有していた. 以上の所見より, 副甲状腺における好酸性細胞は, カルシウム代謝と密接に関連し, 2°HPTにおいてもその機能を発揮し, その原因となり得るのではないかと推測し得た.
  • 菅本 英雄, 大塚 玲子, 小川 きみ代
    1987 年 20 巻 7 号 p. 525-529
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    体重管理不良な症例の心理社会的問題について検討した. 維持透析患者のうち平均体重増加率が6%以上の患者6名を体重管理不良群 (不良群) とし, この不良群と同じ透析条件でかつ平均増加率が4%以下の患者14名を体重管理良好群 (良好群) とした. 平均透析期間, 平均年齢に差はなく, 生化学値にも顕著な差はなかった.
    50項目からなる調査紙を用いて社会的環境状態, 透析に対する理解度を測定し, 心理的状態の測定にはY-G検査, 内田クレペリン検査, CAS検査 (一部下位尺度) を用いて両群を比較検討した.
    結果は, 1) 不良群は社会的役割, 家族関係ともに満たされた状態にはなく, とくに家族関係は良好群より有意に不良と考えられた. 2) 透析に対する理解力は不良群において良好群より劣っていた. 3) Y-G検査分類では不良群と良好群において特異な分類上の傾向はなかった. 4) 内田クレペリン検査では不良群の平均作業量は良好群より有意に少なく (不良群=D段階), 知的能力の問題を示唆された. また両群とも初頭努力がやや少なくとっつきの悪さが考えられた. 5) CAS心理検査では, 不良群は自己規制しにくく, フラストレーション耐性が弱いことが示唆された.
    以上より, 体重管理不良な症例では, これら心理社会的要因が相乗し, 積極的な透析生活への適応力が弱められていると考えられた.
  • 遠山 純子, 小出 桂三
    1987 年 20 巻 7 号 p. 531-536
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者の透析導入に際しては, 主として短時間頻回透析で導入され, 通常週3回ないし週2回透析で維持される. 我々は導入時になお尿量が保たれている患者7例について週1回透析を行い, その持続期間, 血清クレアチニンの逆数 (1/SCr) のslopeの導入前後における変化, 尿量の推移等の点からその有用性について検討した. なお1/SCrについてはMitchらが大多数の腎不全患者において時間経過とともに直線的に下降することを報告しており, 透析導入時期の予測や治療効果の判定に役立つとしている. この点についても自験例で再検討を行った.
    結果は以下の通りである. 1. 1/SCrの経時的変化: 1) 1/SCrが全経過を通じて直線的に下降する症例は50例中22例, 44%であった. 透析導入前6-24ヵ月に限ると約60%が直線的経過をとり, 1/SCrの経時的変化の観察は透析導入時期の予測にある程度参考になりうると思われる. 2) 1/SCrが直線にならない理由の1つとして治療の影響が考えられ, 治療の重要性が示唆された. 2. 週1回透析: 1) 週1回透析例7例中5例で1年以上, 最長1年11ヵ月の維持が可能であった. 2) 7例中5例で導入後1/SCrの回帰直線のslopeが変化した. 3) SCrが10mg/dlに達してから週2回以上透析導入までの期間を有意に延長できた. 4) 週1回透析例では尿量の減少がゆるやかであった. 5) 週1回導入法は, なお尿量が保たれ, 自己管理がよく, 全身状態の比較的良い症例には試みてよい方法と思われる.
  • 石光 俊彦, 山門 実, 多川 斉
    1987 年 20 巻 7 号 p. 537-541
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析 (HD) 患者の長期予後を左右する循環器合併症の多くは動脈硬化性病変を基盤として発症し, その成因には血小板凝集動態が関与すると考えられる. 本研究では, 2種の素材の異なる透析膜がHD患者の血小板凝集能 (PLAG) およびprostaglandin (PG) 系に及ぼす影響を比較検討し, 透析器材の生体適合性について考察した.
    慢性HD患者10例を対象とし, うち5例はcuprophane (CUPR), 他の5例はpolymethyl-methacrylate (PMMA) の透析膜を用いてHDを施行した. HD前および開始後経時的に動脈側より採血し, 以下の測定を行った. PLAGは種々の濃度のADP, collagen (CL), epinephrine (EP) を添加した際の最大凝集率を測定し, 血漿6-keto-PGF, thromboxane B2 (TXB2) は抽出精製後既報のRIA法にて測定した.
    HD中白血球数減少はCUPRでより著明であったが, 血小板数は両透析膜とも有意な変化を示さなかった. PLAGはADPでは両透析膜で差がなかったが, 低濃度 (0.5μg/ml) CL (15分でPMMA: 44±10〈mean±SE〉, CUPR: 73±7%; p<0.01) および高濃度 (1μM) EP (60分でPMMA: 36±4, CUPR: 58±9%; p<0.025) では, PMMAにおいてCUPRに比べ有意に抑制された. 血漿6-keto-PGFはHD開始後-過性に増加し, その後は前値に復する傾向を示したが, この経時的変動はPMMA (前: 261±76, 15分: 519±137, 120分: 266±83pg/ml), CUPR (前: 287±67, 15分: 513±89, 120分: 358±41pg/ml) ともに同様であった. 一方血漿TXB2は, CUPRではHD開始後著明に増加しHD中高値を持続したのに対し (前: 401±35, 15分: 822±194, 120分: 635±70pg/ml), PMMAではHD中有意な変化を示さなかった (前: 420±97, 15分: 395±75, 120分: 381±53pg/ml).
    以上の成績より, PMMAはCUPRに比べHD中PLAGや血中PG系などの血小板凝集動態に好ましくて影響を与え, さらに動脈硬化進展に抑制的に働く可能性があると思われる.
  • 三木 隆巳, 中野 ひろみ, 揖場 和子, 宋 景富, 西沢 良記, 森井 浩世, 聴濤 貴一郎, 松下 義樹, 井上 隆
    1987 年 20 巻 7 号 p. 543-548
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析歴10年以上の44名の定期血液透析患者を対象として, 骨代謝および血管の石灰化について検討した. また, これらの患者の5年前の臨床データおよび年齢と性を対応させた透析期間の短い患者のこれらのデータとも比較検討した. 長期透析患者ではカルシトニンがより多くの患者に投与されているにもかかわらず, 血清カルシウムは有意に高値を示し, 活性型ビタミンD投与期間は短く, 少量しか投与されていない患者の頻度が高かった. さらに, 副甲状腺ホルモン濃度は有意に高値で, 血清オステオカルシン濃度からみた骨代謝回転は高く, 中小動脈の石灰化の頻度も高かった. 長期透析患者では, 血清力ルシウムによる副甲状腺ホルモン分泌の抑制が, 短期透析患者に比べ, 一層不十分で, 副甲状腺が自動性を有する傾向が強くなると考えられる. したがって, 透析初期にビタミンD等の投与により, さらに積極的に二次性副甲状腺機能亢進症の発症の予防につとめる必要がある.
  • 曽和 信正, 松島 宗弘, 滝 吉郎, 安田 和弘, 平井 文彦, 澤西 謙次, 野田 春夫, 浜田 勝生, 宮崎 重, 上山 秀麿
    1987 年 20 巻 7 号 p. 549-556
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    AMK 200mg筋注後の慢性腎不全患者の非透析群およびHD群の血中濃度並びにCAPD群の血中, 排液中濃度を調べた. また, CAPD患者の灌流液中にAMKを投与し, 血中並びに排液中濃度を測定し, その投与量に関して検討を加えた. 慢性腎不全の非透析群ではAMK 200mg筋注し, 1時間後の血中濃度は15.8±1.7μ/ml, 24時間後で7.8±0.4μg/mlで血中半減期は21.7時間で健常人の1.7-1.9時間に比較して著明に延長していた. HD群ではHD開始時には13.0±1.4μg/mlであったものが, HD 5時間後には4.3±0.5μg/mlとなり, 血中半減期は2.9時間と良好な透析性を示した. 以上よりHDではAMKの透析性が高いことから, 一定の血中濃度を維持するためには, AMKをHD後に常用量の半量投与することが望ましく, CAPDではAMKの透析性が低いことより, 投与量は1日50mg投与が適当と考えられた. 逆に, CAPD患者の灌流液中にAMK 200mg毎回注入した場合は, 血中へのAMKの移行率が高く容易に危険閾に達することが証明された. その投与量に関しては腹膜炎の程度と, 血中濃度を個々の症例で検討する必要性がある.
  • 宮原 茂, 野口 正典, 村上 雅巳, 中村 芳文, 野田 進士, 江藤 耕作, 中川 克之
    1987 年 20 巻 7 号 p. 557-560
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の排尿機能に関する報告は今まであまりなされていない. 今回uroflowmetry (UFM) を施行して, その尿流量曲線より尿流量率を解析し, 透析期間, 尿路感染症 (UTI) の有無, 透析レベル, 尿量, 末梢神経伝導速度などとの相関性を検討した. その結果, 1) 細菌尿は23例中10例 (43.5%) に検出され, 4例 (17.4%) がUTIであった. 細菌尿陽性は透析期間と有意の正の相関を示した. 2) 細菌尿と1日尿量との間には負の相関を認めた. また, 残尿量は予想に反し全例で無視できる量であった. 3) 神経伝導速度は13例中12例 (92.3%) が正常で, UFMの結果とは全く関係はなかった. 4) UFM判定では23例中9例 (39.1%) が排尿異常を示した. 5) 排尿異常は透析期間との間に負の相関を認めた.
    以上より, 透析が長期間になるにしたがって膀胱機能低下が起こってくる可能性があることが示された. また末梢神経障害による排尿機能障害は否定的な結果が得られたが, 原因については今後の詳細な検討を要する. UTIとの関係については, 比較的長期の透析患者では, 尿流量率の低下のみが起こっており, このことがUTI発症に何らかの影響を与えているのではないかと考えられた.
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 561-566
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 567-571
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 572-575
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 576-580
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 581-585
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 20 巻 7 号 p. 586-589
    発行日: 1987/07/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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