日本透析療法学会雑誌
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HDおよびCAPD療法におけるamikacinの体内動態
曽和 信正松島 宗弘滝 吉郎安田 和弘平井 文彦澤西 謙次野田 春夫浜田 勝生宮崎 重上山 秀麿
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キーワード: 硫酸アミカシン
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1987 年 20 巻 7 号 p. 549-556

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抄録
AMK 200mg筋注後の慢性腎不全患者の非透析群およびHD群の血中濃度並びにCAPD群の血中, 排液中濃度を調べた. また, CAPD患者の灌流液中にAMKを投与し, 血中並びに排液中濃度を測定し, その投与量に関して検討を加えた. 慢性腎不全の非透析群ではAMK 200mg筋注し, 1時間後の血中濃度は15.8±1.7μ/ml, 24時間後で7.8±0.4μg/mlで血中半減期は21.7時間で健常人の1.7-1.9時間に比較して著明に延長していた. HD群ではHD開始時には13.0±1.4μg/mlであったものが, HD 5時間後には4.3±0.5μg/mlとなり, 血中半減期は2.9時間と良好な透析性を示した. 以上よりHDではAMKの透析性が高いことから, 一定の血中濃度を維持するためには, AMKをHD後に常用量の半量投与することが望ましく, CAPDではAMKの透析性が低いことより, 投与量は1日50mg投与が適当と考えられた. 逆に, CAPD患者の灌流液中にAMK 200mg毎回注入した場合は, 血中へのAMKの移行率が高く容易に危険閾に達することが証明された. その投与量に関しては腹膜炎の程度と, 血中濃度を個々の症例で検討する必要性がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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