日本透析療法学会雑誌
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維持透析患者の細胞性免疫
土肥 和紘高井 正秀山田 宏治杉本 和夫藤本 真一藤本 順一郎藤井 謙裕橋本 俊雄石川 兵衞
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1988 年 21 巻 9 号 p. 817-824

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抄録
維持透析 (HD) 患者では結核罹患率や発癌率が高いという事実から, 最近ではHD患者における細胞性免疫異常が注目されている. そこでわれわれはHD患者のnatural killer (NK) 活性, antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC) 活性, autologous mixed lymphocyte reaction (AMLR) およびconcanavalin A誘導サプレッサーT細胞 (Con A-Ts) 機能について検討し, 併せてモノクローナル抗体を用いてリンパ球サブセットを解析した. 対象は30例のHD患者であり, 健常成人100例を対照に選んだ, NKおよびADCC活性は標的細胞にそれぞれK562細胞, ニワトリ赤血球を用いた51Cr遊離法の測定によった. AMLRの評価はnon T細胞に対するT, TγおよびT non γ細胞の反応性, Con A-Ts機能はpokeweed mitogenで刺激された一定健常人リンパ球の増殖能に対するTs細胞の抑制効果によった. リンパ球サブセットの解析はOKTおよびLeuシリーズによるフローサイトメトリーによった. HD患者のNK活性, ADCC活性はそれぞれ14.5±1.6%, 20.7±2.2%であり, 健常対照の30.9±1.4%, 34.8±2.2%に比して有意に低下していた. HD患者のAMLRはT, Tγ, T non γのすべてが健常対照に比して有意に低下していた. 一方, HD患者のCon A-Ts機能は健常対照と有意の差を示さなかった. リンパ球サブセットの解析では健常対照に比してHD患者のLeu3a, OKM1, Leu11a, OKla1, HLA-DR陽性細胞出現率が有意の増加を, Leu2a陽性細胞出現率が有意の減少を示した. しかしHD患者のOKT3, OKT4, OKT8, Leu4およびLeu7陽性細胞出現率は健常対照と明らかな差を示さなかった. つまりHD患者についてはNK活性, ADCC活性およびAMLRが低下しているので, 腫瘍免疫監視, ウイルス感染防御や自己認識などに機能異常が存在するものと考えられる. さらにOKM1, Leu7およびLeu11a陽性細胞出現率は減少していないので, NK活性の低下は量的な異常ではなく質的な異常によるものと思われる.
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