日本透析療法学会雑誌
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橋出血の合併にもかかわらず救命しえたCAPD患者の1症例
武政 敦夫小川 貴彦小田 弘明ジョーダー ・ザヒド・ホセイン金原 幸司頼岡 徳在碓井 公治重本 憲一郎有田 美智子原田 知
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1991 年 24 巻 2 号 p. 207-211

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抄録
今回我々は, CAPD療法の経過中に橋出血を合併したにもかかわらず, CAPD療法を持続しながら救命しえた1症例を経験したので報告する. 症例は48歳の男性で1985年6月より慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にてCAPD療法開始. 経過良好であったが, 1988年12月27日腹膜炎を合併したため同日当科入院, 同年12月31日橋出血を合併した. CAPD療法を継続し, グリセオールとステロイド剤を脳浮腫に対して使用した. 橋出血発症後約1か月で脳浮腫は消失し, 約4か月後経口摂取可能となり, 約6か月後意識清明となった. リハビリテーションにより約8か月後には歩行可能となり, 1989年10月19日退院となった.
透析患者における脳血管障害の合併は, しばしば致命的である. 特に脳幹部の出血の予後は悪いとされている. 脳血管障害合併の際の血液浄化法の選択としてCAPD療法が有用であった症例と思われ報告した.
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© 社団法人 日本透析医学会
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