日本透析療法学会雑誌
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骨密度からみた腎性骨異栄養症治療法の効果
西谷 博西沢 良記山川 真小坂 英俊三木 隆巳森井 浩世
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1991 年 24 巻 4 号 p. 454-458

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抄録
血液透析患者50名を対象に腎性骨異栄養症の治療法と考えられる活性ビタミンD3 (1α-OH-D3) 療法およびカルシトニン (CT), 副甲状腺手術 (PTX) の併用療法の臨床効果の評価をレトロスペクティブに行った.
骨粗鬆症の影響を少なくするため対象患者は30-55歳の男性安定期通院透析患者に限定した. 糖尿病, 肝硬変, 甲状腺機能亢進症, 胃手術合併患者は除外した. 骨塩定量と血清Ca, P, Al-P, Al, C-PTH値の測定を行い, 治療法との関連を検討した. 骨塩定量は, Dual energy X-ray absorption法 (DEXA, Hologic QDR 1000) を用い, 平均腰椎骨密度 (L1-4 BMD), 平均大腿骨頭頸部骨密度 (FHN BMD) を測定した.
成績は, 腎性骨異栄養症治療法と血清C-PTH値により対象を以下のごとく5群に分け比較した. 1, 2群は1α-OH-D3療法にCT剤非併用の群で, 3, 4群は同療法にCT剤 (エルシトニン®120単位/週) 併用群. 1, 3群の血清C-PTH値は10ng/ml未満で, 2, 4群の同値は10ng/ml以上である. 5群はPTX群である.
結果は以下のごとくであった. 1. 1α-OH-D3の効果はL1-4 BMDよりFHN BMDにおいてより明瞭であり, 1群患者において1α-OH-D3年間投与量とFHN BMDの間に有意 (r=0.431, p<0.05) の正相関を認めた. 2. CT剤の効果は, FHN BMDよりL1-4 BMDにおいてより明瞭で, 4群のL1-4 BMDは1, 2群の同値より有意に高値であった (p<0.01). 3. PTXの効果はL1-4 BMD, FHN BMD両者において明瞭で, 5群の両値は2群の両値より有意に高値であった (p<0.01).
このように1α-OH-D3 療法およびこれとCT剤またはPTX療法の併用は腎性骨異栄養症の治療法として有効性が認められたが, 骨密度に対する効果は部位により若干の相違が認められた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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