CAPD患者に対するrecombinant human erythropoietin (EPO) の皮下注投与は実用的な投与経路として注目されている. 今回我々は, CAPD患者に対しEPOの皮下注投与を行い, その臨床効果, 投与量, 投与間隔, 安全性について検討し, 同時に静注投与との比較も行った.
対象は安定したCAPD患者16名 (男性9名, 女性7名, 平均年齢45歳) で, 4名は静注投与で開始し維持投与の段階で皮下注投与に変更, 他の12名は皮下注投与のみを行った.
週1回の静注投与で維持されている3名を同量の皮下注投与に変更した結果, 静注投与と同量または半量でヘモグロビン (Hb) 濃度を長期に維持することができた. 週2回の6,000U静注と週1回の6,000U皮下注投与で初期投与10週までの週当りのHb上昇度を検討した結果, 皮下注投与は静注投与と同様の効果が認められた. 皮下注の初期投与 (12週まで) として4群に分けて検討した結果, 週当たりのHb上昇度は週1回6,000U (n=5) で0.30g/d
l, 2週に1回9,000U (n=3) で0.22g/d
l, 2週に1回6,000U (n=3) で0.18g/d
l, 4週に1回9,000U (n=1) で0.08g/d
lと, 2週に1回の皮下注投与で十分な効果が認められた. 皮下注の維持投与は平均27.5週観察した結果, 16名中14名が2週に1回1,500-9,000U, 他は1名が週1回6,000U, もう1名が4週に1回9,000Uで目標のHb濃度 (9g/d
l) を長期に維持することができた. 皮下注投与によるCAPD患者のEPO維持量は静注投与によるHD患者に比べ少ない傾向が認められた.
CAPD患者に対するEPO皮下注投与は静注投与同様に安全な投与経路であり, 2週に1回の投与で十分な効果が得られ, その結果通院回数を減らすことができた.
抄録全体を表示