日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
26 巻, 2 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 胃・十二指腸病変を中心に
    谷 礼夫
    1993 年 26 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 児玉 敏宏, 池田 拓洋, 法岡 貴子, 湯川 彰英, 雑賀 博子, 高橋 敏夫, 北 裕次, 前田 明文, 阿部 富彌
    1993 年 26 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎性骨異栄養症の補助診断およびその病態の評価をする目的で, 維持透析患者43例に対し2年間にわたり定期的身長測定を実施し, その身長変化と種々の臨床検査, 骨塩量, ビタミンD3投与量との比較検討を行った.
    身長は3か月毎に測定したが, 今回は1988年1月から1990年1月までの2年間における身長の変化を観察し, その身長変化と年齢, 透析歴, 血清Ca, P, ALP, C-PTH, AI, BMG, カルシトニン (CT) 等の血液検査との比較検討を行った.
    また, Digitallmage Processing Methodにて骨塩量 (ΣGS/D) を測定し, 身長変化と比較した. ビタミンD3投与量と身長変化との関係も合わせて検討した.
    身長縮小値と透析歴との間にr=0.307の正の相関傾向が, 血清Ca値との間にr=0.345の正の相関傾向が認められた. 身長縮小値と血清ALP値との間にr=0.670, p<0.01と正の相関が, 血青C-PTH値との間にr=0.701, p<0.01と正の相関が見られた. ΣGS/Dと身長縮小値, 血清ALP, C-PTH値との間に負の相関が認められた. ビタミンD3投与量と身長縮小値との間には相関は見られなかった.
    2年間に2cm以上の身長縮小をみた5症例中4症例に, 血清C-PTH値の異常高値が認められた.
  • 田中 正顕, 前波 輝彦, 杉山 誠, 井上 眞夫, 大和田 滋, 石田 尚志
    1993 年 26 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD患者に対するrecombinant human erythropoietin (EPO) の皮下注投与は実用的な投与経路として注目されている. 今回我々は, CAPD患者に対しEPOの皮下注投与を行い, その臨床効果, 投与量, 投与間隔, 安全性について検討し, 同時に静注投与との比較も行った.
    対象は安定したCAPD患者16名 (男性9名, 女性7名, 平均年齢45歳) で, 4名は静注投与で開始し維持投与の段階で皮下注投与に変更, 他の12名は皮下注投与のみを行った.
    週1回の静注投与で維持されている3名を同量の皮下注投与に変更した結果, 静注投与と同量または半量でヘモグロビン (Hb) 濃度を長期に維持することができた. 週2回の6,000U静注と週1回の6,000U皮下注投与で初期投与10週までの週当りのHb上昇度を検討した結果, 皮下注投与は静注投与と同様の効果が認められた. 皮下注の初期投与 (12週まで) として4群に分けて検討した結果, 週当たりのHb上昇度は週1回6,000U (n=5) で0.30g/dl, 2週に1回9,000U (n=3) で0.22g/dl, 2週に1回6,000U (n=3) で0.18g/dl, 4週に1回9,000U (n=1) で0.08g/dlと, 2週に1回の皮下注投与で十分な効果が認められた. 皮下注の維持投与は平均27.5週観察した結果, 16名中14名が2週に1回1,500-9,000U, 他は1名が週1回6,000U, もう1名が4週に1回9,000Uで目標のHb濃度 (9g/dl) を長期に維持することができた. 皮下注投与によるCAPD患者のEPO維持量は静注投与によるHD患者に比べ少ない傾向が認められた.
    CAPD患者に対するEPO皮下注投与は静注投与同様に安全な投与経路であり, 2週に1回の投与で十分な効果が得られ, その結果通院回数を減らすことができた.
  • 八木 祝子, 猪狩 友行, 石井 策史, 西山 敬介, 平田 恭信
    1993 年 26 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高Na透析の血圧, ヘマトクリット (Ht), 血漿浸透圧および血管作動性物質に及ぼす影響を標準透析の場合と比較した. 高Na透析は標準透析液 (Na 140mEq/l) に高NaCl液を注入してNa濃度を155mEq/lに上げて前半2時間透析し, 後半は標準透析液に戻す方法で行った. 血圧は携帯型自動血圧計で24時間測定した.
    透析前後の体重と除水量は両透析間で差異がなかったが, 透析中の血圧は高Na透析で有意に高く, 透析終了後は有意ではないが高い傾向が24時間認められた.
    高Na透析では標準透析に比べて血漿Na濃度が透析2時間後および終了時に有意に高く (p<0.01), 2時間後の血漿浸透圧も有意に高かった (p<0.05). 一方, Htは高Na透析で透析前および2時間後で有意に低値であった (p<0.001).
    血漿心房性Na利尿ペプチド濃度 (ANP) は両透析で透析により著明に減少した. 血漿レニン活性 (PRA) は両透析ともに透析中に有意な変化がみられなかったが, アルドステロン濃度 (PAC) は高Na透析中に有意の減少がみられた. 血漿ノルアドレナリン (NA) およびアドレナリン濃度 (A) は両透析で透析2時間後に有意に減少したが, 終了時にはほぼ透析前値に復した. 両透析の間で透析前, 2時間後および終了時のANP, PRA, PAC, NAおよびA値に有意の差異がみられなかった.
    高Na透析では透析中の血漿Na濃度および血漿浸透圧がより高く維持されるために細胞内および組織間から血管内へ水の移動が速やかに行われ, 循環血漿量の減少率が少ないことが血圧の安定に寄与すると考えられる.
  • 宮形 滋, 下田 次郎, 鈴木 隆志, 西澤 理, 原田 忠, 土田 正義, 福田 孝
    1993 年 26 巻 2 号 p. 161-163
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は30歳男性. MOFのためポリスルフォン膜 (F60) を使用し4L置換のHDFを連日4時間施行していた. 血液培養にてVCMのみに感受性を示すMRSAが検出されたためVCM500mg/日を5%ブドウ糖液250mlに溶解しHDF後に1-1.5時間かけて隔日毎に, 1か月間点滴静注した. HDF前に採血しVCMの血中濃度を測定した. 血中濃度の平均は, 投与後1日目25.5±4.3μg/ml, 2日目16.8±2.7μg/mlであり, 長期の連続投与にもかかわらず蓄積傾向は認められなかった. 投与中止後は血中濃度は徐々に減少し, 最終投与7日後には3.2μg/mlとなった. この間, VCMの副作用と考えられるものは認められなかった.
  • 山本 啓介, 加藤 禎一, 伊藤 哲也, 熊田 憲彦, 小川 隆平, 椿本 光男, 橋本 博美, 中塚 春樹
    1993 年 26 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    内シャントの画像診断にMR angiographyを施行し, その有用性を血管造影 (DSA) と比較検討した. 使用した装置は, 1.5テスラー超電動型MR装置 (GE社製SIGNA PERFORMANCE PLUS) である. 撮像方法として2D phase contrast法を用いた. 対象は血液透析患者8例である. 内シャントのMR angiographyは, DSAに比べ画像はやや劣るが, 穿刺および造影剤の使用が必要なく, 内シャントを明瞭に描出でき, また狭窄の診断が可能であった. 以上からMR angiographyは, 非侵襲的な検査として内シャントの状態の把握に有用であると考えられた.
  • 宮本 忠幸, 沼田 明, 湯浅 誠, 川西 泰夫, 田村 雅人, 古川 敦子, 香川 征, 横田 武彦, 淡河 洋一, 多田羅 潔, 山本 ...
    1993 年 26 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: 腎性貧血に対するリコンビナント・ヒト・エリスロポエチン (r-HuEPO) の至適投与量を明らかにするため多施設共同試験を実施した. 対象と方法: 慢性腎不全血液透析患者でHt値25%以下の症例273例を対象とした. 初期投与を3群 (1,500IU×3/W, 1,500IU×2/W, 3,000×2/W) に分類し, Ht値が27-33%に達した時点より維持投与に移行し, Ht値を30%前後に維持するように投与量を変更もしくは休薬した. 結果: 初期投与では投与後4週後のHt値は3群とも有意な上昇を示し, 3群間では3,000×2/Wが有意に高値であり, その効果は用量依存性であった. 12週目では3群間に差がなく, 貧血改善を緩徐に行うためには1,500IU×2/Wで十分であった. 維持投与量は, 低用量に移行し, 4,500IU/W以下が約80%を占めた. しかしながらHt値30%を維持するためには25%の症例で6,000IU/Wの投与が必要であった. 副作用は34例 (12.5%) に認められ, 主要な副作用は血圧上昇で, 投与量が増えるに従い, その発生頻度が増加した. 6,000IU/W投与する場合, 血圧の上昇を懸念する必要があると思われた.
  • 三木 信夫, 山本 信一郎
    1993 年 26 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期間血液透析に伴う, 頻回のshunt手術によって四肢の血管が荒廃した症例では, 自己血管によるblood access作成が困難なことが多い. かかる症例に対し人工血管を用いることなく, 有効なblood access作成術を行い良好な結果を得たので報告する. 方法: 局所麻酔下, 仰臥位にて, 大伏在静脈を剥離し, 近位側膝窩動脈を露出, 端側吻合する. さらに大伏在静脈を表在化し, 閉創する. 透析歴19年, 13年の2例に本術式を施行し, 術後18か月および19か月の現在合併症なく順調に経過している.
  • 早川 正道, 秦野 直, 小田 正美, 吉原 邦男, 吉 晋一郎, 島袋 浩勝, 大城 吉則, 大澤 炯
    1993 年 26 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の末梢血リンパ球 (PBL) 機能について検討した. 対象は透析開始3年以内の透析導入および透析安定群, 10年以上の長期透析群, そして腎機能正常な対照群である. 検討項目は, PBLまたはLymphokine-activated killer (LAK) 細胞によるサイトカイン (IFN-γとTNF-α) 産生能と, 末梢血モノサイトのInterleukin-1 (IL-1) 産生能, そしてLAK細胞活性である. 透析開始3年以内の群では, 対照群に比して, LAK活性とIL-1産生能が有意に低下し, LAK細胞によるIFN-γ産生能も低下傾向を示した. Interleukin-2 (IL-2) 刺激PBLのIFN-γおよびTNF-αの産生量に関しては症例によりバラツキが大きく, 透析患者の両群いずれにおいても, 対照群との間に有意な差は見られなかった. 両サイトカインのともに産生量の低下した症例の割合が対照群に比べ3年以内の群で多かったが, 統計学的には有意な差は認められなかった. 一方TNFとIFNの産生量の多寡に関して相関が認められた. 従ってIL-2刺激により誘導されるLAK活性が低下している等の結果から, 透析3年以内の群において, IL-2に対するPBLの反応性の低下した症例の存在が示唆された.
    以上より, 我々の測定した免疫のパラメータに関するかぎり, 透析導入3年以内の患者においては免疫能の低下が認められるが, 10年以上の長期透析患者の免疫能は改善し, 健腎対象群のそれとに差異が認められなかった.
  • 吉原 秀高, 岸本 武利, 安本 亮二, 川嶋 秀紀, 西阪 誠泰, 前川 正信
    1993 年 26 巻 2 号 p. 191-194
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1990年1月1日から12月31日の1年間に大阪府下で維持透析を受けた慢性腎不全患者を対象に後天性多嚢胞化萎縮腎 (acquired cystic disease of the kidney, ACDK) の発生率ならびに腎癌併発件数に関する調査を行った. 大阪府下で維持透析を実施している施設は133施設で総患者数は7,379名であった. ACDKの調査に回答のあった施設は118施設で, 回収率は88.7%であった. 118施設中59施設 (50%) がACDKの有無についての検査を年1-2回 (平均1.6回) 行っていた. 検査方法は59施設すべてが超音波検査を行い, 1施設を除いた58施設がCT検査を併用していた.
    59施設の総患者 (3,271名) を対象にACDK発生率ならびに腎摘除術の件数の調査では3,271名中, ACDKは男性501名, 女性257名, 計758名 (23.2%) であった. 男女比は約2:1で男性に多く, ACDK発生率は透析歴の長期化とともに経年的に増加し10-12年で44%のピークに達した. 12年を超えるとむしろ発生率は34-36%に低下した. ACDKの患者15例に腎癌の併発があり (男性15例, 女性0例), 腎摘除術を受けていた. 透析歴が長くなるほど腎癌の合併率が高くなる傾向にあった.
  • 楽満 文子, 戸村 陽子, 西山 久恵, 北里 恵美, 福士 美津子, 加藤 二三寿, 水附 裕子, 宇田 有希, 中村 義弘
    1993 年 26 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢者5例の事例検討を中心に, 透析導入時の心理的側面について考察を行った. 高齢者は加齢に伴うさまざまな変化により新しい環境への適応は乏しい. 透析導入に際しては低下した能力で適応しようとしており, その適応の度合, バランスのとり方などが個別的で, 多彩な心理状況を生ずると考えられた. 各事例の疾病経過の特徴では, 透析導入前の入院期間の長かった事例では不安症状の出現は少なく, 腎不全の診断と透析治療が同時期で緊急な透析導入の場合は不安や無力感が強く, さまざまな身体症状が出現した. 生活像の特徴では, 透析導入時は家族関係が強化された形となり, 家族の協力や支援が通院透析を可能にする要因となっていた. しかし家族関係の変化や, 家庭内の役割変化に伴う心理的葛藤がみられた.
    各事例の心理的側面に影響を及ぼす因子はさまざまであったが, 「透析を日常生活の中に組み込むこと」がまず重要であり, そのゴールは一人一人極めて個性的であった. 患者が健康時所有していた生活環境や心理的状態に近づけていくことが重要である.
  • 萩原 安紀子, 安藤 理都子, 松山 由美, 神田 里美, 芥川 晃, 榎田 元子, 木村 雅芳, 伊原 博行, 平野 恭弘, 金子 佳雄
    1993 年 26 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全による意識消失出現し緊急血液透析が施行されたが, その後シャント手術および血液透析導入を拒否した1症例に対し, 血液透析の受容を促すことができたので報告する.
    症例は, 45歳, 男性. 1979年から慢性糸球体腎炎のため, 他院に通院していた. 1990年3月, 血液透析導入の必要性を医師から説明されたが, その後自己判断で通院を中止した. 同年6月16日, 尿毒症のため意識消失, 緊急血液透析が施行された. しかし, 5日後一旦承諾したシャント手術および血液透析の継続を拒否した.
    そのため6月21日から8月31日まで, コンサルテーション・リエゾン活動を応用し, 精神的援助を試みた. 具体的には, (a) 入院管理, (b) 専属看護婦による頻回のカウンセリング, (c) 主治医・心療内科医・看護婦がチームとなった支持的アプローチを行った.
    本症例は, 対象喪失に対する悲哀の仕事を進行させていた. 現状認識ができなかったため, 腎機能や血夜透析についての指導は, 効果が少なかった. そこで, 患者の訴えをありのままに受けとめ, 患者が自分自身の気持ちを整理できるように努めた. その結果, 血液透析は拒否し続けていたが, スタッフを拒否することはなかった. 上記 (a)-(c) は, 本症例の心の支えとなり, 悲哀の仕事の進行に影響を与えた. そして, 腎性貧血の進行を機に透析療法を受容し, 9月1日血液透析を導入した.
    今回は, 血液透析の拒否患者を受容に導くことができた. 本症例では, コンサルテーション・リエゾン活動に基づいた支持的アプローチが, 血液透析導入前の看護として有用であった. 今後も, 血液透析導入においては, 個々の患者に適した精神的援助が必要である.
  • 澤田 登起彦, 中川 芳彦, 吉岡 隆, 米倉 増男, 深沢 達也, 太田 和夫
    1993 年 26 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は妊娠中毒症から慢性腎不全に至った47歳の女性. 透析導入から2年後の昭和57年sick sinus syndromeにより, 右鎖骨下静脈から恒久型 (VVI) ペースメーカーを留置された. その翌年, イレウスの治療として左鎖骨下静脈からカテーテルを挿入され, 12日間の高カロリー輸液を施行された. その後, 5年を経過した頃よりシャント側である左上肢に腫張をきたし, 徐々に増悪したため両側上肢の静脈造影を施行した. この際すでに右鎖骨下静脈および左無名静脈の閉塞, 豊富な側副血行路の形成をみた. その4年後, 左上肢の腫張は次第に増悪し, 色素沈着, 頭痛, 左上肢の血栓性静脈炎等が加わったため, 再度静脈造影を施行した. 右側は前回と同様の所見であったが, 左側は鎖骨下静脈で完全閉塞していた. 手術は内シャント閉鎖と左上腕動脈表在化を行ったが, 約2か月を経過した現在, 症状は軽快し, 血液透析も順調に施行されている. 本症例のようにペースメーカーを装着された血液透析患者に対し, カテーテルを挿入する際は, 静脈血栓症の発生を考慮し, シャントと同側からの挿入は禁忌と考える. またシャントの反対側から挿入する場合においても鎖骨下静脈は避ける, 術後抗凝固療法を施行する等の注意をする必要があると考える.
  • 渡辺 順, 武林 祥裕, 北村 真, 飛田 美穂, 佐藤 威, 清水 宏明, 有森 茂
    1993 年 26 巻 2 号 p. 213-218
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回我々は汎血球減少症, 重度心タンポナーデ, および腎不全に陥ったSLE症例に対して血液透析と血漿交換療法を併用し全身状態および腎機能の改善を認めたのでここに報告する.
    症例は45歳で, 昭和40年にSLEと診断されステロイド治療を受けていた. 昭和50年に完全寛解といわれ内服を中止していたところ昭和62年近医にて腎機能の低下を指摘され当院入院した. 入院時全身浮腫著明で, 検査所見では汎血球減少症, 抗核抗体高値, 腎不全, 著明な心タンポナーデを認めた. 入院当日より血液透析を施行したが全身状態が非常に悪くステロイド剤の投与ができないために, 第7病日より血漿交換療法を開始した. 免疫吸着血漿交換を1回, 二重濾過血漿交換を2回施行した後に全身状態はやや改善したためステロイド投与を開始した. その後も血液透析と血漿交換を施行し, 全身状態は著明に改善し, 血液透析から離脱し退院した.
  • 吉田 絹代, 木村 喜代, 東郷 綾子, 大西 和子, 荒木 奈々恵, 田中 孝夫, 市丸 喜一郎
    1993 年 26 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD患者で腹壁ヘルニアを合併した場合, 一般的には外科的修復術が選択されることが多い. しかし, 今回我々は, 66歳の男性でCAPD歴5年8が月の症例で, 1回注液量を2lから1lまで減量し, 1日の総注液量も8l/日から5l/日まで低下させ, CAPDを維持しえた経験をした. 本症例で, 保存的治療が可能であったのは, 自己管理がスムーズに行えたこと, 腹膜機能が比較的良好に保持されたと思われたこと, さらに患者の自立への意欲が積極的に示されたことなどによると考えられた.
    今回の経験から, 腹壁ヘルニア合併のCAPD症例でも, 保存的治療の可能性も念頭に置いて対処すべきであると教えられた.
  • 安田 克樹, 中村 雄二, 栗本 典昭, 香川 直樹, 大城 良雄, 山田 謙慈, 藤田 浩史
    1993 年 26 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    硬膜下血腫は過去15年間に143名の透析患者中3名 (2.2%) に発生した. 1例は慢性硬膜下血腫であり, その手術後に反対側に亜急性硬膜下血腫を生じ, 再手術を必要とした. さらにその後水頭症を併発し, 脳室-腹腔シャントにて治癒した. 他は慢性硬膜下血腫と急性硬膜下血腫であり, ともに症状は悪化せず, 血腫は自然に吸収された. 透析患者の硬膜下血腫の特徴としては両側に起こり得ることとどの年代にも生じ得ることである. その原因はヘパリン使用による凝固機能の低下や透析による頭蓋内圧の変動が主なものと考えられる. その症状は頑固な頭痛, ボケのような精神障害, 軽い運動麻痺と特異的ではなく, 痴呆や水頭症, Disequilibrium syndromeの症状と類似しており, その鑑別に注意せねばならない. CT-scanはその早期診断, 適切な治療を可能とした. 特にそれを用いて, 経過を観察することにより, 手術を必要とするのか自然に吸収されるのかを的確に区別できた. 外科手術法は穿頭洗浄が簡単で, その予後も良い. その間の透析は出血の恐れのないフサンを用い, 厳重な体重管理を行うべきである.
  • 松木 尚, 河田 陽一, 田中 正己, 百瀬 均, 雄谷 剛士, 大園 誠一郎, 岡島 英五郎
    1993 年 26 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 男性. 41歳時より慢性糸球体腎炎にて血液透析に導入され, その後腹部CT scanにて後天性嚢胞腎 (ACKD) を指摘された. 1990年8月23日, 突然右腰部痛が出現し, 後腹膜腔血腫の疑いにて8月28日当科へ入院した. 精査の結果, ACKDの嚢胞破裂による後腹膜腔血腫と診断し, 保存的療法にて血腫は消失し得た. なお, ACKDの経過観察においてMRIの有用性につき言及した.
  • 杉浦 寿央, 藤田 芳正, 田中 善, 藤井 正満, 白井 大禄
    1993 年 26 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々はCampylobacterによるCAPD腹膜炎を経験した. 文献的には極めて稀な症例とされるので報告する. 症例は43歳女性. 1970年血液透析に導入. 1985年に内シャント閉塞をきたし再建困難なためCAPDに移行したが, 以後腹膜炎を頻回に繰り返していた. 1991年7月5日に下痢を生じ翌6日より排液混濁. 7月8日にはCRP 50.5mg/dl, 腹膜透析液中細胞数832/3mm3となり入院した. 薬剤アレルギーのため使用可能な抗生剤が限られ, vancomycin, tobramycin, minocyclineの投与を開始, 入院時の腹膜透析液よりCampylobacter fetusが同定されたが, その後は排液中より消失した. しかし菌交代現象によりEnterococcus faecalisが出現し腹膜炎が遷延したため8月21日Tenckhoffカテーテルを抜去し鎖骨下静脈カテーテルを用いた血液透析に移行した. Campylobacter fetusの感染経路は確定し得なかったが, 注腸透視では上行結腸に直径5mm大の憩室を認め, 腸管感染を起こした後, 経腸管壁的に腹膜炎に進展した可能性が考えられた.
  • 川口 良人, 中本 雅彦
    1993 年 26 巻 2 号 p. 237-262
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 阿部 富彌, 岸本 武利
    1993 年 26 巻 2 号 p. 263-278
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 臼井 昭子, 田崎 綾子
    1993 年 26 巻 2 号 p. 279-289
    発行日: 1993/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
feedback
Top