日本透析医学会雑誌
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Dialysis-induced hypotensionに対するグリセオール持続静注の中止時間についての検討
岡田 一義高橋 進
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1994 年 27 巻 12 号 p. 1489-1492

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抄録

Dialysis-induced hypotension (DIH) 予防のためのグリセオール持続静注療法におけるグリセオール投与中止時間について検討を行った. グリセオール持続静注 (100ml/hr) 療法をHD終了時まで施行中の維持HD患者3名を対象とした. 本療法にて30回の観察期間を置いた後, グリセオール持続静注をHD終了30分前と60分前に中止した期間を30回ずつ施行した. グリセオールをHD終了時まで投与した期間では, 血清グリセロール濃度上昇に基づく血漿浸透圧の上昇による口渇の出現を認めた. HD終了30分前に中止するとHD終了時まで投与した期間と比較し, 血圧には有意な変化が見られないうえ, 血清グリセロール濃度・血漿浸透圧の上昇は有意に低く, 口渇は認めなかった. HD終了60分前に中止した期間ではさらに血清グリセロール濃度・血漿浸透圧の上昇は少なかったが, 3症例中1例に有意な血圧の低下を認めた. DIHの予防に対しグリセオールを持続静注する場合には, HD終了30分前にグリセオール投与を中止し, 血圧の安定が得られている症例については中止時間を早める方法がよいと思われた.

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