日本透析医学会雑誌
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透析液清浄化への取り組みと問題点: カプラー汚染の影響
藤 聖隆本池 拓史提嶋 一文
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1997 年 30 巻 8 号 p. 1041-1045

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抄録

透析液清浄化への取り組みとして, 水処理工程からの汚染対策に加え, 患者監視装置の透析液送液側ヘフィルターEF-01 (PEPA膜) を取り付けることで, フィルター出口部のエンドトキシン (ET) 濃度は検出感度以下となった. しかし, ダイアライザーへ接続するOリングカプラーのジョイント部では, 異常な高値を認めた. そして, このカプラーの使用では, 装置の自動洗浄後における, 第1クール透析開始時のダイアライザー内透析液へ細菌汚染を認めた. この原因は, カプラー内のOリング細菌培養結果より, Oリング裏面の消毒不完全による汚染と考えられた. そこで, Oリングを必要としないシリコン製カプラーを使用した結果, 第1クールの透析では, 細菌, およびET汚染を認めず有効であったが, 第2, 第3クールの透析では, 非透析時にカプラーの接続に用いたジョイントからと考えられる細菌汚染を認めた. 今後, 透析液清浄化に向けてカプラー周辺の簡易な汚染対策が必要と思われた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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