日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者の尿中ヒト・ポリオーマウイルス (BKV, JCV) 検出率の検討
北村 唯一国武 剛太田 信隆武藤 智天野 滋
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1997 年 30 巻 8 号 p. 1047-1052

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抄録
JCVはヒト・ポリオーマウイルスの一種であり, 進行性多巣性白質脳症の原因ウイルスである. 今回, 慢性血液透析患者の尿中ヒト・ポリオーマウイルス (BKV, JCV) 検出率を検討したので報告する.
慢性血液透析患者47名 (透析患者群) と腎機能正常な泌尿器科外来患者で, 年齢性が一致する47名 (対照群) において, 尿中ヒト・ポリオーマウイルス (BKV, JCV) をPCR-Southern法を用いて検出した. その結果, 尿中検出率はBKV, JCVともに透析患者群 (BKV 2.1%, JCV 17.0%) は対照群 (BKV 10.6%, JCV 59.6%) に比べて低値であり, 排泄濃度においても低濃度であることが確認された. しかし, 1日尿量が比較的維持されている透析患者サブグループと無尿に近いサブグループとでは尿中ヒト・ポリオーマウイルス検出率に有意差はなかった.
以上のごとく, 慢性透析患者ではヒト・ポリオーマウイルス排泄が低頻度であるにもかかわらず, 稀に進行性多巣性白質脳症が発症することが報告されており, その発生のメカニズムをさらに研究する必要がある.
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