日本透析医学会雑誌
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バンディング法を利用した上腕動脈表在化兼上腕静脈ループ形成術12例の経験
斎藤 誠一
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2000 年 33 巻 5 号 p. 335-338

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抄録

目的: 過去7年間に2nd-line blood accessのひとつとして行った上腕動脈表在化兼上腕静脈ループ形成術12例の結果について報告する. 対象と方法: 男9例, 女3例, 年齢は65-82歳 (平均74.8歳), 合併症は高血圧12, 閉塞性動脈硬化症12, 糖尿病8, 脳梗塞4, 腸間膜血栓症1例であった. 方法は尺側皮静脈および表在化した上腕静脈と表在化上腕動脈との吻合を行った. 結果: スチール症候群が初期の2例にみられたが, その後バンディング処置を行うようになり, 発生はみていない. 静脈側閉塞は2例にみられ表在化動脈のみとなったが, 残存するバンディング部分を穿刺ポケットとして使用でき, 動脈の直接穿刺を回避できた. 動脈血栓は1例に発生し, 血栓除去を必要とし, 使用を中止した. 1例はシャントの発育がみられなかった. 最終的に10例はシャントとして使用可能であった. 結論: この術式は静脈側が閉塞しても表在化動脈が使用でき, 残存するバンディング部分を穿刺ポケットとして使用できる有用な2nd-line blood accessのひとつであった.

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