日本透析医学会雑誌
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異時性両側腎孟尿管腫瘍に対し, 体腔鏡下での腎尿管・膀胱全摘除術および尿道摘除術を施行し, その後血液透析導入となった1例
土橋 正樹川端 岳田中 一志原 勲守殿 貞夫深川 雅史
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2004 年 37 巻 4 号 p. 317-321

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抄録
70歳, 男性. 平成7年左腎盂腫瘍 (transitional cell carcinoma (TCC), non-invasive, G2, pTa) にて左腎尿管全摘除術を施行された. その後平成8年10月および平成11年4月に膀胱腫瘍を認め経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行された (TCC, non-invasive, G2>3, pTa-pT1a). 平成15年3月無症候性肉眼的血尿出現し, 右水腎症を認め, 逆行性腎盂造影 (RP) にて中部尿管に長径約3cmの陰影欠損を認めた. 同部位の尿細胞診にてclass Vを認め右尿管腫瘍と診断した. 明らかな転移を疑う所見は認めなかった.
平成15年4月28日左前腕内シャント作成術施行. 5月8日後腹膜鏡下右腎尿管全摘術, 腹腔鏡下膀胱全摘除術, 尿道全摘除術を一期的に施行した. 手術時間8時間30分, 出血量535g, 輸血量850mLで, 右腎尿管・膀胱・尿道を一塊として摘除し得た. 術後1日目より血液透析導入となった. 組織学的診断はTCC, papillary, non-invasive, G2, pTaであった. 現在も外来血液透析にて経過観察中であるが再発等を認めていない.
泌尿器科悪性腫瘍に対する手術療法のために血液透析導入になった例は散見されるが, 体腔鏡下手術にて, 腎・尿管・膀胱・尿道を一塊として摘出しその後血液透析導入となった報告は検索しえなかったのでここに報告した. 本術式はその低侵襲性より有用であると考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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