日本透析医学会雑誌
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糖尿病性腎症による新規慢性透析患者数の推計
秋葉 隆中井 滋若井 建志新里 高弘奈倉 勇爾
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2006 年 39 巻 7 号 p. 1237-1244

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抄録
糖尿病性腎症は末期腎不全の原因としてもっとも頻度が高く, 合併症が多く予後不良で, 多くの医療資源を要する. 糖尿病性腎症による透析導入患者数の今後の動向により, 透析医療が大きな影響を与える可能性がある. そこで, 国民人口動態調査と日本透析医学会統計調査委員会調査をもとに予測を試みた.
1995年から2004年のわが国の糖尿病性腎症を原疾患とする慢性透析新規患者の性年齢別新規患者数と, わが国の性年齢別人口とその推測値から, 2005年から2015年の糖尿病性腎症による新規慢性透析患者数を推計した. 糖尿病性腎症による慢性透析患者推計値は, 2010年では男12,579, 女5,756, 計18,335名, 2015年では男14,813, 女6,575, 計21,388名と2004年に比べ総計はそれぞれ30.6%増, 52.2%増と推計された. 50-54歳, 55-59歳では2004年までの増加傾向が消失ほぼ平坦に, 60-64歳では2010年から増加傾向が減少傾向に変化した. これらの世代の導入率には大きな変化がないので, これは年齢別人口の変化によるものであった. 65歳~の世代では, 各年齢とも増加傾向を示し, もっとも導入数が多い年齢は従来の65-69歳から70-74歳に移行することが確認された.
医療統計による推計には, 将来の医学の進歩, 健康保険制度の変化など, 予測不能などの危うさがある. この欠点を認めた上で, 本研究は, 今後の透析医療が立ち向かうべき対象として, 糖尿病性腎症による慢性透析患者の増加, しかも高齢導入患者の増加があることを明らかにした.
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© 社団法人 日本透析医学会
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