2017 年 37 巻 2 号 p. 139-143
J波(または早期再分極:ER)は心電図で比較的よく認められる所見であるが,J波症候群(早期再分極症候群:ERS)症例のなかには,ごく少数例で致死性不整脈が出現する.一方で,失神は救急受診ではよく認められる症候であるが,その多くは神経調節性反射性失神(NMRS)である.失神患者でhead-up tilt試験(HUT)を施行し,心電図におけるJ波の存在とNMRSの関連性を調べた.下壁にJ波を認める症例では,HUTでNMRSの誘発率が高い.特にJ波とそれに続くhorizontal/descending型のST-T低下を認める場合は有意にNMRSの誘発率が高く,失神とJ波の存在には何かしらの関連性が認められた.