2024 年 44 巻 2 号 p. 97-106
CARTO3version7.2からUnipolar電位の基準電極としてTRUErefⓇを選択できるようになった.TRUErefⓇとはOCTARAYのシャフト内に配置された電極をUnipolarの基準電極として使用することができる機能である.今回我々はUnipolarの基準電極としてTRUErefⓇと従来のWCTを比較し,検証を行った.5例の心房細動患者に対し左心房後壁および左肺静脈に配置したOCTARAYカテーテルの電位をTRUErefⓇ使用時(TR群)とWCT使用時(WCT群)でそれぞれ取得し,電位波高値について評価を行った.左心房後壁においての解析では,心室のFar field電位についてBipolarでは差が見られなかったが,UnipolarではTR群の平均が0.22±0.12mV,WCT群の平均が1.74±0.48mVであり,統計学的有意差が見られた.また,左上肺静脈においては,心房もしくは左心耳のFar field電位について,BipolarではTR群とWCT群の間に有意差は見られなかったが,UnipolarではTR群の平均が0.24±0.27mV,WCT群の平均が0.42±0.27mVであり,統計学的有意差が見られた.結果から,TRUErefⓇはBipolar電位に影響を与えずに,Unipolarの心室Far field電位を大きく軽減できることが示唆された.また,TRUErefⓇはUnipolarの心房Far field電位も軽減できることが示され,TRUErefⓇのUnipolar電位がより局所の興奮を反映していると考えられた.TRUErefⓇはUnipolarのFar field電位を低減することができ,より正確な局所の電位を反映していると考えられた.