2024 年 44 巻 3 号 p. 167-179
心房細動の発症は線維化を中心とする心房構造的リモデリングの進行と関連する.カテーテルアブレーション時のvoltage mappingによって観察される低電位領域(low-voltage area:LVA)はこれまで局所的な線維化領域と考えられてきた.しかし,我々は心房構造的リモデリングはびまん性プロセスであり,LVAの存在はびまん性voltage低下の局所的な反映であるという仮説を検証した.高位右房ペーシング中に高密度voltage mappingを行い,左房全体のbipolar voltageの低下とLVAの関係を評価した.その結果,LVA出現の背景には左房全体のびまん性voltage低下があることを確認した.また,カテーテル心房生検を開発し,組織学的線維化率が生検部位および左房全体のbipolar voltageと逆相関することを示した.その後の研究により,心房構造的リモデリングの組織学的因子は線維化に先行する細胞間隙の拡大,線維化,心筋粗鬆化,心筋核密度減少の4つの因子であることを明らかにした.さらなる研究により,心房リモデリングの機序を解明するとともに,心房細動および心房心筋症に対する新たな治療標的の創出を目指す.