心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
症例
一次予防として植込みを行ったICDが8年後に心室細動に対して適切作動した中年女性のBrugada症候群の1例
大江 啓之尾木 浩村岡 裕司光野 萌髙橋 和希柳原 奏竹本 創藤原 舞三宅 康子石橋 堅爲清 博道林 康彦
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 46 巻 1 号 p. 22-30

詳細
抄録

61歳女性.2014年に検診でCoved型ST上昇を呈するBrugada心電図を認めて受診した.過去に失神や胸部症状などはなかったが,父が40歳で突然死していたため,電気生理学的検査を実施した.Burst pacingで容易に心室細動(ventricular fibrillation:VF)が誘発され,無症候性Brugada症候群と診断し,一次予防で植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)植込みを行った.不整脈の発生は一切なく経過したが,2022年10月に遠隔モニタリングにて心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)と抗頻拍ペーシング(antitachycardia pacing:ATP)作動を確認した.2023年2月夕食後にテレビを観ていたところ,突然VFが発生してICDショック作動したため受診した.キニジンを400mg/日導入し,以降はVT/VFの出現なく経過している.女性のBrugada症候群は男性の15分の1程度と非常に少なく,VT/VFイベント発生率も低い.しかし,女性症例は症候とイベント発生率の関連が乏しいという報告や,約20%は60歳以上で初回イベントが発生しているという報告もある.無症候性Brugada症候群に対し,一次予防で植込んだICDにより救命できた本症例から,リスクの層別化とICDの適応について再考したい.

著者関連情報
© 2008, Japan Science and Technology Agency
前の記事 次の記事
feedback
Top