2026 年 46 巻 2 号 p. 133-140
症例は60歳男性.意識消失を伴うBrugada型心電図に対し行った電気生理学的検査で心室細動(ventricular fibrillation:VF)が誘発され,一次予防として植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)植込みが施行された.X年7月,屋根上で断続的に指先に弱い感電を自覚しながら,素手でクーラー室外機取り付け作業をしていたところ,突然全身に強い衝撃を受け,50cm程下の段の屋根に落下し,当院へ救急搬送された.デバイスチェックでVF検出閾値を超えるノイズ信号がVFと誤感知され,ショック治療が作動したことが判明した.ICDは,致死的頻脈性不整脈による心臓突然死を予防し,生命予後を改善する,もっとも有効かつ確立された治療法であるが,まれに電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)による不適切作動が生じることがある.EMIによる不適切作動は,医療機器だけでなく,日常生活で取り扱う様々な電気設備の影響でも起こりうる.電気設備からの感電は,適切な患者教育により回避できる可能性が高く,感電はデバイスの不適切作動の原因となりうることを広く啓発する必要がある.