抄録
心電図上, 完全右脚ブロックに著明な左軸偏位を伴った症例は, 従来bilateral bundle branch bloch, right bundle branch block with left anterior hemiblockなどと呼ぼれ, 病理所見との対比がなされている。
最近我々は, 呼吸困難を主訴に入院した69才男性の, 心電図上第1誘導およびV1~V6までqR型を伴う右脚ブロックおよび左軸偏位を示し, 剖検にて左室前壁および中隔の梗塞に加え, 刺激伝導系では左脚前枝, 右脚の完全杜絶, 左脚後枝に島状の伝導細胞の脱落が認められた例を経験した。
このようなV1~V6までqR型を示す左軸偏位を伴う右脚ブロックのベクトル心電図所見と病理所見とを対比した報告はほとんどなく, その特異な心電図の成立機序についてベクトル心電図と剖検所見から考察を加えた。