抄録
各種抗不整脈薬のATP感受性K+チャネルに対する効果をモルモット心室筋細胞を用いて検討した.ランプ波膜電位固定により得られる疑似定常状態膜電流に代謝阻害剤2, 4-dinitrophenol (50μM) を添加すると, -70mVより脱分極側での外向き電流が著明に増力口した.この電流はglibenclamide (1μM) 添加により完全に抑制されるのでATP感受性K+電流 (IK, ATP) と考えられる.Ia群のcibenzoline (10μM) , disopyramide (30μM) , procainamide (100μM) , およびIc群のflecainide (10μM) は, このIK, ATPをそれぞれ平均値で95%, 78%, 76%, 67%抑制した.これらの濃度はflecainideを除きほぼ治療域の濃度に相当する.これに対しIb群のmexiletine (30μM) , Ic群のpilsicainide (50μM) およびIII群のE4031 (10μM) は治療域の5倍以上の濃度でもIK, ATPを抑制しなかった.以上の結果をふまえ, Ia群抗不整脈薬によるIK, ATP抑制の虚血不整脈に対する意義と低血糖発作における役割について考察する.