心電図
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洞不全症候群における薬理学的自律神経遮断後の洞結節自動能回復時間の意義
―薬理学的自律神経遮断と心筋生検を用いた重症度の検討―
馬場 隆男向井 英之小林 洋一丹野 郁蔵野 康造菊嶋 修示矢沢 卓井上 紳片桐 敬
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1994 年 14 巻 6 号 p. 562-569

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抄録
洞不全症候群 (SSS) における薬理学的自律神経遮断 (PAB) 後の洞結節自動能回復時間 (SRT) の意義について, 臨床電気生理学的検査 (EPS) , 心内膜心筋生検所見を用いて重症度, 自律神経の影響, 器質的障害の程度から検討した.SSSでPAB前のSRTが5000msec以下の例をPAB後SRTが短縮するA群, PAB後SRTが延長するB群とし, PAB前後ともにSRTが5000msec以上の例をC群とした.臨床像はA群<B群<C群の順に重症で, EPSのPAB後の洞機能の指標もA群<B群<C群の順に重症であった.特にB, C群はSRTがPAB後に延長し内因性の障害が示唆され, 心筋生検所見の異常例も多く器質的障害が裏づけられた.またA, C群は, 副交感神経系の関与が, B群は交感神経系の関与が示唆された.以上より, 臨床像や洞機能障害はA群<B群<C群の順に重症で, PAB前後のSRTの変化による分類は洞機能の重症度の評価に有用であると結論した.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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