抄録
成犬15頭に10%硫酸Mg80mg/kg1回静注またはその後1%0.5~1.0ml/分を点滴しながら心室細動閾値を測定して, 血中Mg濃度の変化との関係を経時的に検討した。一部の実験では冠結紮を併用した。別に心室期外収縮闘値を測定し強さ一間程曲線を描いてMgの影響を観察し, またMgによる心電図変化を検討した。結果, Mg血中濃度は注射後20分で著しく上昇したが1回注射群では20分以後次第に下降し, 点滴群では100分以上も高値を保った。細動閾値は注射20分以内では不変ないし下降等一定の傾向がないが, 20分以後では著しく上昇した。これは冠結紮群でも同様である。この上昇は血中濃度と必ずしも平行せず, 血中濃度の上昇より遅れて起こり, 濃度下降後も持続した。Mg注射後強さ一間程曲線においては, 軽度の拡張期閾値の上昇と不応期の延長がみられ, 濃度下降後も持続した。Mg注射後徐脈化, PR延長, QRS増幅等が起こり補充収縮も起こりにくく, 心臓に対する抑制作用が示唆された。