心電図
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III. Na+チャネル遮断薬 (I群抗不整脈薬) の臨床的使い分け
奥村 謙小松 隆
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2003 年 23 巻 2 号 p. 181-189

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抄録
頻脈性不整脈の治療の目的は, 自覚症状を改善し, QOLと生命予後を改善することにある.治療としてI群抗不整脈薬 (Na+チャネル遮断薬) が使用されることが多いが, 薬剤の有効性の評価とともに副作用にも常に注意を払わなければならない.これは必ずしも治療効果イコール生命予後の改善となるわけではないためである.Na+チャネル遮断薬の使用に際しては, まず基礎心疾患の有無と心機能に注目し, これに応じて薬剤を選択する.一般には高度の心機能低下例ではIa群薬, IC群薬は避け, β遮断薬やアミオダロンを選択する.心機能低下が軽度であればIb群薬を選択することも可能である.心機能が正常であれば, 不整脈の種類とその発症に関わる自律神経の影響などを考慮し, Ia群薬, Ib群薬, Ic群薬のいずれかを選択する.発作性心房細動に対するNa+チャネル遮断薬の予防効果はいずれも約50%で, 薬物療法の限界とも考えられる.心房細動に対しては, 抗不整脈薬により洞調律維持をはかるかレートコントロールと抗凝固療法を行うか, 症例ごとに検討する必要がある.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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